八木啓代のひとりごと 2006年度 上半期

(6月14日 記)

さて、ひさびさの料理話題。
少し前に紫たまねぎをいただきました。

これ、ピクルスにするといいんですよねえ。
とはいえ、せっかくなので、前にここでご紹介した「油で煮て漬け込む」スタイルより、色がきれいに出る方がいいと、メキシコは東部ユカタンスタイルでピクルスにしました。
ユカタンというと、マヤ文化で有名なところです。
チチェン・イッツァ、ウシュマルといった観光ガイドブックには欠かせないマヤの遺跡群があり、カリブの美しい海のあるところ。
で、この地域には、いわゆるメキシコ料理とはちょっと違うユカタン料理という郷土料理があるのですが、これがまたおいしいんだな。
で、このユカタン料理に欠かせないのが、「紫たまねぎのピクルス」なんです。

というわけで、さっそく再現。簡単なので、お試しください。
薄切りにした紫たまねぎをごくさっと茹でます。メキシコ的に、薄切りにしたのを耐熱のバット(耐熱ガラスか磁器かホーローのもの)に入れて、熱湯かけて5分というのでもOK。
軽く熱が通ってしんなりしたら、湯をよく切って、好みのハーブと塩胡椒、酢で漬け込むだけ。
ハーブはメキシコの場合、オレガノを使いますが、べつに他のものでも好みがあればいいかと思います。なくてもべつにかまわないし。
あと、好みの問題ですが、酸っぱいのがあまり好きでない人は、すこし蜂蜜とか砂糖を加えて甘酢仕立てにしてもいいかと思います。
まあ、私の場合は、オーソドックスにワインビネガーにタラゴンとオレガノ少々。砂糖はなし。
これで2時間ほどおきます。
ああら不思議、紫たまねぎの端の濃いピンクが全体に移って、それはもう綺麗なピクルスができあがります。超簡単。
これが、魚のムニエルとか、揚げ物とかに合うのですね。
ポテトサラダに混ぜても綺麗。
日持ちするので、たっぷり作っても、大丈夫。
和洋折衷的には、とんかつなんかにも会います。

そういうわけで、この日のおかずは、いまお安いトビウオのムニエルのバルサミコソースに、付け合わせを粉吹きいもとプロッコリーと紫たまねぎピクルス。
バルサミコソースは、これ、重宝します。ドレッシングにしてもいいんですが、肉でも魚でも焼いたあとの油をさっと捨てて、バルサミコと塩・胡椒・砂糖(または蜂蜜)を入れて、味を調え、さっとかけるだけ。これまた簡単で、高級イタリア料理店の味。
こつは、魚系にはやや酸味を残し、豚肉や鶏肉のソテーには、少し甘みをきかせることです。ま、好みの問題ですが。


(6月8日 記)

ペルーでは、これ以上の南米赤化を阻止すべく、右派+中道+穏健左派連合を組んでのアラン・ガルシア元大統領が当選。
オジャンタ・ウマラ候補は、それでも4割の票を取り、彼の政党は第一党に躍り出ましたから、これからのペルーの政局はしばらく混迷が続くでしょう。
隣のボリビアでは、エボ・モラレス大統領が圧倒的に支持率を得て、セーター着用によるラフスタイル外交も好調なようですから、これから4年ぐらいで両国の差はまた開くかと。

まあ、それはそれとしまして、つい先日死刑が廃止になったフィリピンに続いて、ペルーでもアラン・ガルシア次期大統領が、死刑廃止を表明しましたね。死刑廃止は国際的な流れ、ということです。
唯一逆行しているのは日本なんですが。

死刑を廃止という論調が少し高まると、日本ではこれがもう絵に描いたように、
「死刑を廃止すると、極悪猟奇大量殺人犯で、まったく改悛していないような人間でも、ムショに入って(模範囚なら)15年ぐらいで出てくる。そんなことは許すわけにはいかない」
という時代錯誤でヒステリックな論調ですね。

あのですね。
そんな問題は、それこそ、法改正で決着がつくのですよ。
要するに日本の刑法の最大の問題は、死刑を温存する一方で、死刑の次に重い刑罰がしょせん「無期懲役」であって、その無期懲役が「たいして重くない」ことなわけです。
死刑を廃止すると同時に「終身拘禁」、つまり模範囚であろうとなかろうと、その人の無罪が立証されない限り、永久に出られないという刑罰を作っちゃえばいいわけですね。

ついでにいうと、刑務所経費を軽減するためだかなんだかわからないけど、刑罰全般の処罰が緩いこと。レイプやって執行猶予つくような(つかなくても、1〜2年で出てきちゃうような)国が、まともな先進国で、他にありますかね。

死刑に比して、死刑以外の刑罰がやたら緩いっていうので、日本の刑法の最大の問題でありましょう。
その一方で、いまだに容疑者・被疑者の人権にはむちゃくちゃ疎いときている。

死刑廃止反対論とだいたい、セットになるのが、この「人権派弁護士」への人格攻撃ですね。
被害者家族の怒りの涙をセットにすることで、死刑廃止論者をまるで「鬼畜を野放しにしたがる連中」というようなキャンペーンを張る。

それが、オウムの麻原であれ、若妻幼児殺しであれ、いかに極悪非道な犯罪者であっても犯罪者には弁護を受ける権利があるし、どんないやなやつでも、医者が患者を助けなくてはならないのと同様に、弁護人は弁護に最善を尽くさなくてはならないのです。どうせこいつは犯人だし悪いやつなんだから極刑に決まっている、みたいなおざなりな対応を弁護士がやったら、近代法制度の崩壊でしょうが。
彼らはそれが仕事で、どんなにいやなやつが相手でも、プロとしてきちんとした仕事をしなくてはならない。みんなが断るような仕事でも、誰かがそれを引き受けなくてはならない。そのプロとしての誠意を持った仕事をしている人間を人格攻撃するのは、リンチの容認であり、法の否定行為です。

まして、被害者家族というのは一方の当時者なわけで、冷静な対応ができるわけはないのです。そういう人を、感情の高ぶった状態でマスコミの面前に引っ張り出すのはいかがなものか。これは別の意味で、人権侵害ではないかと思います。

こんなことをいまさら書くのは、こんなところにまで「恣意」を感じるからで、たとえば、今年の春に起こった光市事件では、弁護士が「引き継ぎから2週間では、準備ができない」「当日は、すでに弁護士は予定が入っていて無理」とそのずっと前に延期申請は出されていて、通常ならこういうケースでは問題なく延期が認められるにもかかわらず、この件に関しては裁判所がそれを却下し、そのうえで、弁護士の欠席を叩き、マスコミがそれに乗って、大キャンペーンを繰り広げるというパターン。

イラン人質事件のときもそうでしたが、このような感情的なだけの非常識な論調がまかりとおる国で、裁判員制度というのは正気の沙汰とは思えないですね。裁判期間中、裁判員になった人を、すべてのマスコミのキャンペーンから完全隔離し、検察と弁護側の主張だけでものを判断してもらえるとでも思っているのでしょうか。
となれば、結果は自ずから明らかですね。マスコミを動かす人間が、裁判の結果も握れるというわけ。死刑乱発だってオッケー。

そういう意味では、ライブドア、村上事件も広い意味で、同じパターンという気がするのですが、いかがでしょう。
私は新自由主義に反対するものだし、べつに、六本木ヒルズにはなんの同情も感じないのですけどね。

小泉首相は、歴代の総理の中で、圧倒的にマスコミ(とそれに付随する世論)を操作するのがうまい人です。天才的なカンがあると言ってもいいでしょうね。
(飯島秘書官がすごいんだという見方もあります。確かにこの人は、小泉氏がメジャーになる前から「ライバル候補を蹴落とし陥れる手腕」には、一部で定評のある方でありました)

だから、実は大した成果を上げていなくても、それどころか、イラクに自衛隊を送り込んだり、信じられないような米軍の移転費用を言われるがままに支払ったり、靖国参拝で近隣諸国との関係を悪化させたり....と、国益を損なうようなことばかりしているにもかかわらず、そのたびに、マスコミとネット右翼をうまく踊らせて、論点をすり替えてきました。
そして、その結果として、日本はおそろしいほど右傾化して、ある意味、憲法改正も共謀罪も、ほんの数年前なら「考えられない」というか、話だったような方向に、まさにいま突っ走ってきています。

社民の一気凋落の原因となった、辻元清美の秘書給与詐欺事件といい、経済学者として竹中政策を批判してきた植草一秀氏が、「スカート覗き」で逮捕されて失墜させられたというのも、とても意味深。
そして、A級戦犯岸信介の孫が首相への道を歩んでいるというのも.....。


(6月7日 記)

ええ、萩本欽一と斎藤清六をミックスした方((c)織田哲郎)が、逮捕されました。
それも、懇切丁寧なリークと解説付きで。

ええ、べつに村上氏の肩を持つ気はないのですが、インサイダー取引にしても粉飾決算にしても、もっと悪質なのをやっている大企業はいっぱいあるでしょ。
それを、この時期にたっぷりネタを提供して、なんかわかりやすくバッシングしやすい敵を作って、こぞって水に落ちた犬叩きに夢中になっている間に共謀罪を成立させようっていうんでしょうね。たぶん。
マスコミが、検察を正義の味方のヒーローとしてやたらに持ち上げているのが不気味でしょうがないですわ。私なぞ。

小泉・竹中のレイムダック化を語っている論調もありますが、小泉(もとい、あの秘書の方)はそんなにバカじゃありませんて。単に、このたびは竹中氏と村上氏が切り捨てられただけ。
耐震偽装問題が起こったときには、それが政治的問題になる前にホリエモン逮捕劇で一騒動。米軍基地問題の頃は、野口氏自殺・他殺問題。ホリエモンからの裏金が問題になりそうになると絶妙のタイミングで偽造メールが出てくるんですからね。いや、さすがだわ。


(6月2日 記)

ところで、石田衣良さんの「アキハバラ@deep」映画化されるようですね。
この作品のもとネタは、たぶん、このモノローグで以前紹介した、国産ブラウザ「Sleipnir - スレイプニル」のプログラマ(現社長)の身に実際に起こったある事件を元にしているのだと思うのだけれど、この小説は、それをそのままというのではなく、そのエピソードを軸に、見事に換骨奪胎している大きな風呂敷を広げたドラマにした感じで、とても巧くて面白いエンタテインメント。「ヲタク」の描き方が画一的という批判も一部にあったようだけど、ヲタクって、そもそも「レッテル」なんだから、それはしょうがないのじゃないかなあ。

面白いといえば、少し前の話で恐縮ですが、阿川大樹さんのデビュー作で、シリコンバレーを舞台にした「覇権の標的」という小説もかなりスリリング。
というか、むしろ、作者がコンピュータの世界に詳しい人なのに、ぎりぎりでオタッキーになるのを回避しつつ、素人にもわかりやすいコンピュータ業界の内幕を解説しつつ、物語が展開していくところが経済小説として評価されるゆえんでしょうね。しかし、これ、個人的には経済小説というよりは、国際謀略サスペンスなどが好きな人の方が、つぼにはまるかと。

私小説、というのは別として、小説の小説たるところは、作り話にいかに感情移入させることができるか、というところではないかと思います。そういう意味では、私はノンフィクション出身のせいか、どうも、作り話を作り話として語ることが素直にできなくて、とことん調査と下調べをした挙げ句、「限りなく追求した事実と思われる話は、やっぱり地味だ」とか、「その資料はセンセーショナルだが、信憑性が低い」という結論に至って書きやめてしまうことが多いのだけど(自爆)、こういう作り話ならではの楽しさを語ってくれる小説を読むと、反省しきり。
でも、作り話が「そらぞらしい嘘」にならないのは、壮大な嘘を作り上げるパーツのひとつひとつが綿密に作り込まれているからですね。阿川さんの場合、彼自身がシリコンバレーにいたことのある人なので、ディテールがつぼにはまっています。

その阿川さんと、以前、某ワイン酒場でワールドベースボールクラシック(WBC)ネタで盛り上がったときの彼の一言。
「でもあれって、小説というより、マンガの世界ですよね」

わかる。主人公は熱血だし、絵に描いたような悪役もいたし、最後は優勝するし。正しい70年代の少年週刊誌の世界!
確かに、「小説」ってことはないよね!

と思っていたら、立て続けに知人から、「そういう意味で小説らしくない設定」の作品を教えられてしまいました。
どちらもシリーズ物で、ひとつは、サラ・ウォルターズもの。ひとつはキャロル・オコンネルの「氷の天使」もの。最後のひとつはエリザベス・ジョージの「リンリー警部」もの。

サラ・ウォルターズは、主人公とそのテーマが「舞台は19世紀、貴族出身上流のお嬢様とスラム出身の極貧階級の少女の間に真の愛情は生まれるか」。
オコンネルのは、主人公が「誰もが振り返るものすごい金髪碧眼美女で、しかもコンピュータの天才の警官」という設定。
エリザベス・ジョージにいたっては「誰もが振り返るすごい金髪のハンサムで、しかも富豪で名門貴族の称号を持つ警部」.....。

引きませんか、この設定。私は引きました。思い切り。
あるわけないじゃん、というより、もはや、70年代の少女漫画じゃありませんか。まるっきり。

いや、少女漫画をバカにしているわけではありませんが、でも、それと小説は違うだろうよ。
(と、自分の小説に「超美人国際赤十字職員」を登場させたことは棚に上げる)
いや、あるわけないような設定の警官や素人探偵が活躍する小説というのは日本でもありますけど、あの手はどちらかというと「電車の中で読む、お気楽エンタテインメント」とか「2時間ドラマ系」であって、ここで話題にしている、人間の心理をえぐるような、重厚な本格派的小説、下手な時間に読み始めると、徹夜の危機すらありうるような、そして最後にやられたな、と思うような.....というたぐいのとはちょっと違うだろう、というものです。

ところが、このウォルターズもオコンネルもジョージも読ませるのですね。
そもそも、どの本も1冊がかなり分厚いんですが、内容の濃い本格派で面白いんですよ。とくにウォルターズにはやられましたね。
結局、これもディテールです。あり得ない設定なんだけれど、それをあり得させるためのディテールが徹底している。そして、人物造形がすごい。脇役や端役まで、生きて動いている感じ。というか、脇役と端役が生きているから、主役がどんなにあり得なさそうな設定でも、なぜかそれなりの説得力を持ってしまうのかも。ううむ。力量ですね。というか、小説は奥深いです。

ただいずれも、冒頭にご紹介した石田衣良さんの作品を除くと重厚系なので、普段あまり本を読まない人とか、読書好きでも「軽めの2時間系」あるいは「犯人を当てにくい謎解きバズルもの」が好きな人は、たぶん読んでいて辛いものがあると思います。(そういう人は私のコラムは読まないだろうけど)

でも、ライブが近いんで、しばらくジョージ禁止令(って、18世紀ぐらいのイギリスの法律みたいだな)。


(6月1日 記)

共謀罪で揺れ動く日本。
と書きたいところだけど、いまいち揺れ動いていないのが歯がゆいといいますか、本当に大丈夫か。
亀井静香とか糸山英太郎の意見がまっとうに思えてくるというのは、右傾化がいくところまでいっているのでしょうか。

そういえば、「立川反戦ビラ」裁判も最高裁です。ほんとにもう、このへんでふんばらなかったら、日本はどこに行くことやら。

http://www4.ocn.ne.jp/%7Etentmura/

ところで、ダヴィンチ・コード。
ここでは特にとりあげていなかったのですが、周囲にけっこう真に受けそうになっている人たちを散見するようになってきましたので、改めて書きます。べつにカトリックを擁護する気はないんですが。

あの本で出ている「仮説」はべつに、作者ダン・ブラウンの提唱しているものでもなんでもなくて、かなり前から「その筋の人(=トンデモ愛好家)」の間では有名なネタなのでした。

日本のTVですら、もう過去に何回か夜9時2時間ネタとかでやっているほどで。(UFOがどうたらとか、戸来村のイエスの墓が、とかいうたぐいの番組で)今回、ダヴィンチコードの宣伝のために、またやってましたが....牧瀬里穂がマグダラのマリア役というのは、近年まれに見るほどの苦笑を誘いましたねえ(「ダヴィンチ・コード」映画そのものも、カンヌ映画祭では失笑が出たそうですが)。

で、このネタのオリジナルは「レンヌ・ド・シャトーの謎」という本で、かなりそのまんま使われている感じです。
(で、ダン・ブラウンは盗作で訴えられています)

ただ、この本は完全なトンデモ本で、この本のさらにネタとなっている古文書は偽物であることが80年代に明らかになっています。
シオン修道会そのものも、1950年代にでっちあげられたものですから、もちろん、ダヴィンチがかかわっていたわけもありません。
この「レンヌ・ド・シャトー」も、なかなか突っ込みどころ満載なのでして、(ここからは、ネタバレを含むので、読みたい人だけマウスをドラッグして反転させて読んでください)

たとえば、

ただ、それなりに、素人心をくすぐる面白さをもった偽書ではあるので、だいぶ前に公開された「クリムゾン・リバーII」のネタにもなっています。

マグダラのマリアとイエスの結婚説は、これもべつに新説ではなく、イエスが死んで100年以上経ってからできたグノーシス派の文書で、このグノーシス派としては、先日も「ユダは裏切り者ではなくて、裏切ったのは(死によって最終的な悟りに至ろうとした)イエスの意志だった」というような内容の古文書が出てきて、ナショナル・ジオグラフィックでちょっと話題になって、ここで取り上げてもいます。(4月7日付)

が、結論から言いますと、これはイエスと使徒の名前を使った創作です。

べつに私はカトリックではないし、権威主義者でもないのですが、常識的に考えて、当時、イエスは(修道士じゃないんですから)結婚していても問題はなかったのです。
だから、弟子達だってそれを口を揃えてひた隠しに隠す必要はないわけです。仮に隠したのだとしても、それを「暴く」文書が、使徒達がぜんぶ死んで100年以上経ってから書かれた文書一通ってことはないでしょう。
(ユダ文書も同様ですが)

それと、最後の晩餐の謎ですが.....あれも謎でもなんでもないのです。最新の修復では、短刀の手もはっきり浮かび上がっていますし(先日、NHKでやっていました)、そもそもあ位置関係は、純粋に絵画的構図とみるべきでしょう。
さすがダヴィンチ、絵画としての構図は完璧です。

あの構図を作るために、ダヴィンチはイエスのこめかみの位置に釘を打って計測したあとが残っていますが、そこがまた、彼のきわめて近代合理主義者的なところです。

ダヴィンチがシオン修道会の総長で神の秘密を守るような人なら、イエスのこめかみに釘を打ったりしませんて。

ちなみに、使徒ヨハネが美少年として描かれるのは、当時の絵画の「お約束」で、ダヴィンチも美少年モデルを愛用した(同性愛説すらあった)人です。

じゃあ、ダヴィンチ・コードは面白くないのかというと、これまた別問題。
小説的面白さとネタの真実は別です。イエスはべつに宇宙人だったと唱えても、小説として成立していて、面白ければそれで問題はございませんのです。

ただ、この作品に関しては、例のトンデモ本のほとんど大部分をまんまネタとして使っているのに、作者自身が「この(説の部分)はフィクションではない」などと書いちゃっているのは、ちょっとルール違反じゃないかあ。皆さん騙されないようにね。

でも、八木が個人的にもっとも面白かったのは、なんとこのモノローグでも過去話題にしたことのある、あの「オプスデイ」。
この「ダヴィンチコード」に、かなりおもしろおかしく登場していることです。

念のために。
オプス・デイは実在しますが、ああいう「悪の秘密結社」ではなくて、いわゆる「反共系キリスト教超保守派の人たち」の集団なのでして、良くも悪くも日本で言うなら「新しい歴史教科書を作る会」、みたいな感じです。

日本でも馴染みのある人だと、ペルー日本大使公邸占拠事件のときに、「仲介役」として入っていこうとしてゲリラ側に拒否された、フジモリさんの仲良し・シプリアーニ大司教が、オプス・デイです。
で、フジモリさんの後ろ盾です。
日本では「カトリックの仲介を拒否するとは、話し合いに応じないゲリラ」というタッチで報道されましたが、ゲリラ側が拒否するのは当たり前だったのでした。
で、フジモリさんは、そもそも大統領当選のときから、オプス・デイを後ろ盾にしてきた人です。

ペルーではもちろん、例のシプリアーニ大司教が、「ダヴィンチコードを読むな」キャンペーンを必死でやっているそうで、彼は有名な会員だから、まあ、それは当然でしょうが、ここで、日本のマスコミも、週刊現代とかプレイボーイあたりで、「シプリアニさんはオプスデイ会員だし、シプリアニさんと仲の良かったあの日系元大統領も、オプスデイ関係者。では、あの元大統領と仲のいい日本のキリスト教関係者は?」とか書いてくれたら、もっと面白いのに。


(5月6日 記)

4月30日に、DJが逮捕されたという事件はご存じでしょうか。
ええ、音楽関係者にありがちの「ある種の粉とか葉っぱとかキノコを持っていた」というのじゃありません。

フリーターの雇用安定を訴えてデモをやっていた車のDJを引きずり下ろして逮捕したと。
しかも、このデモ自体ちゃんと警察に届け出済みで、音響設備のことも音を流すことも管轄署に連絡してあり、承諾も得ていたにもかかわらず、当日、実際に行うと、DJを車から引きずり下ろして、「道路交通法違反」で逮捕し、そのときの争乱に巻き込まれた人が二人「公務執行妨害」で逮捕されたと。

あのですね。だったら、その前に渋谷や梅田くんだりで大音響でがなっている右翼を何とかしろよ、と思ったのは私だけではないでしょう。あの右翼はみんな許可もらっているわけ? もらっていたとしても大いに迷惑だ。
あいつらを全員逮捕してから、そういうフリーターに手を付けろよ、まったく。

そもそも、フリーターが雇用安定されて、立派な労働者になれば、政府の求める納税者になるわけだろうに。
わけのわからないこと、このうえない。

ちなみに、さすがにDJは5月2日に釈放されたようですが、このとき「公務執行妨害」で逮捕された人たちはまだ拘留中です。

反戦落書き不当逮捕事件(トイレの落書き=器物破損)も、「だったらその前に猥褻落書きを徹底的に取り締まれよ」と思ったのは私だけではないでしょうし、反戦ビラ逮捕時件のとき(家宅不法侵入)も、「だったら、ピンクチラシやサラ金のチラシも徹底的に取り締まれよ」と思ったのは私だけではないでしょう。

ちなみに、この間、私んちに自民党のチラシが入っていたので、あ、家宅不法侵入されたぜと思いましたよ。残念ながら、入れるところを見ていなかったので現行犯で通報できなかったんですが。入れてる瞬間見られたら、覚悟しろよ。

その前に、法政大学の不当逮捕事件というのもありました。これは、はっきりいうと「中核派潰し」なんですが、しかし、中核派だからといっても、単にデモをやるだけなら言論の自由ってものがあるだろう。というか、それがあってこその法治国家だろう。べつに私は中核派にはまったく賛同していないけど、中核派が危険だというなら、その一方で、統一教会や悪徳商法を野放しにしておくのはいかがなものか。そのへん、自民党に献金しているかどうかが、取り締まりの基準になっているような。

(註:このあと、情報を頂きました。大学の中核派潰しという目的そのものはデマではありませんが、逮捕された学生がみんな中核派やいわゆるシンパだったわけでもなんでもなく、限りなく巻き添えに近い人たちもいたようです)

これだけ法律を、ダブルスタンダード的に、都合良く拡大解釈し、運用できるのであれば、これで共謀罪なんて成立したら、本当になんだってやってしまえますね。

こんな国にどうやって誇りを持てというのだ。


(5月2日 記)

さて、5月1日。メキシコに連帯してアメリカ製品ボイコットの日。
というわけで、アメリカ製品は買わず使わずの八木は、パソコンもWindowsは言うまでもなく、Macも使わず、Linux。
(Linuxでああのこうとの遊んでただけなんじゃないか、という突っ込みは不可)

でもって、ふつうの歌手って、「うちにパソコンありま〜す」というのが関の山.....なんじゃないかという歌手差別発言(笑)を、とある林檎社関係の方に言われてしまいましたがな。実際は、たぶんそれ以下で、メールアドレスがケータイというのが主流ではあると私も思います。歌手に限らず、音楽家は。
MIDIを仕事で使っているくせに、メールはできないに等しいという人はいくらでもいるんだもの。
で、自分の部屋に3台もパソコンがあり、Macintosh、Windows、Linuxぜんぶ持っている私って、そこだけ取りあげるとかなりオタク度高いみたいです....。

しかし、実際には使っているのはお弁当箱みたいなMac Miniで、iBookは外国への長期旅行に持っていくためのやむをえない必需品。Win機は少し前にただでもらった廃品回収品ですから、オタクって言われるほどのこたぁないと思うのですが。Linuxを入れようというのがオタクなのかな?

で、そのLinux。
Linuxと一言で言っても、いろいろあります。ここがMacやWindowsと違うところで、本来が無償のオープンソースソフトだけに実際のOSにいろんな配布版があるのです。(これをディストリビューションというのだそうだ)
で、メインマシン、またはサブマシンとして実用に使うのであれば、当然、有償ではあるけれど日本語環境も整って添付ソフトもしっかりした(もちろん、Windowsよりははるかに安くて安全な)Turbolinux とか Linspireをインストールするべきでしょう。
Linuxの良いところはセキュリティが高いことと、大半のソフト(しかも高機能で軽量)が無償で手にはいることですが、日本語入力の主流となっているKanna(かんな)とかAnthyは、やはり変換能力がいまひとつで、ネットでちょっとBBSに書き込むぐらいならいいですが、ワープロソフト(OpenOffice)とかをばりばり使うには、ちとパワー不足。有償のATOKぐらいの日本語入力ソフトがないとつらいかもしれません。
そういうわけで、本格的に使うには、ソースネクストで売っている1980円のTurbolinux軽量版を購入し、Mutlimediaソフトは自分でダウンロードしてインストールし、ちょっと使ってみて、日本語環境が不足なら、ATOKを別途購入というのがたぶん、安上がり。 もちろん、結果的にATOKを買ってしまうと、単体だとこれだけで10,290円もします(註:他のATOK製品をすでに持っている人なら5,250円)ので、すでにATOKの正式利用者でない人なら、Amazonで少し割引のあるTurbolinuxのフルパック13,264円を買うのが利口かも。

でも、私の場合、メインマシンもサブマシンもあるし、趣味で遊ぶために入れるだけなので、無償で、かつおもしろそうなやつにこだわることにしました。
Linuxのすごいところは、OSそのものが軽くて容量が小さいので、中身がCD一枚に収まり、そのCDから起動して「お試し」ができるものも多数存在しているということです。
初心者にはKanotixというのがお勧めだそうで、これも試してみました。CDブートだと速度は遅いですが、画面は綺麗だし、日本語化もけっこうしっかりしているし、悪くありません。実用に耐えます。

で、いろいろ試してみて、いちばんぐっときたのが、Eliveというやつ。
これ、Mac OSXに匹敵する....いや、部分的にしのぐほどのグラフィックの美しさとスタイリッシュさなんです。ほんとに、ため息が出る。映画のマイノリティ・リポートとかマトリックスの美的センスがけっこう好きな人には、つぼにはまります。(ただし、メニューの日本語化が不十分なのと、日本語入力もフリーソフトなので、欧文を中心に使うのでなければ、現段階では、メインマシンとして使うにはちょっと問題あり。試してみるには、日本語版はこちらでダウンロードできます。)

でも、何より驚くのは、このEliveで見ると、同じマシンのWindowsから見たのとは比較にならないほど、Webサイトも画像も3Dも美しく見えるということ。この廃品回収VAIOはSONY製品なので、液晶技術がAppleに比べて低いわけないんだけど、やっぱりそう。Macに比べて見え方が美しくなかったのは、マイクロソフトの技術力が劇的に低かったからなのでした。
で、このElive。個人的には、SONYの新型Notebookなんかには、もうWindowsをやめて、こいつを搭載した方がいいんじゃないか。日本語の完全化のためにスタッフ一人入れて、Eliveプロジェクトに10万ドルも寄付したら、OS代金はいらないのだから、ATOKつけてもお釣りが来るだろうに。
とまあ、それぐらい言いたくなるほど美しくかっこいいわけです。ネット上から必要なソフトを拾ってきてインストールする機能なんかも、すばらし。
しかも、わずか12人のチーム(翻訳者とかデザイナー入れて)で作っているんですよね。

今、世界の通信事業者を震え上がらせるほど席巻している無料電話Skypeもルクセンブルグの小さな会社だし、WebのW3C準拠のためのアシッドフェイス・テストを早々に(世界で二番目に)独力でクリアしたiCabもドイツの小さな会社。IEエンジンでIE以上の機能のSleipnirも、ごく最近会社組織にしただけの、ほとんど個人。
やっぱり大樹の影によらないで、小規模で元気のいい人たちが頭と腕ひとつで頑張っているのを見ると、自分も頑張んなきゃな。
それにしても、エンジニアだけで何万人もいる(そして、もちろん優秀な人を採用しているはずの)マイクロソフトは、いったい何をやっているのだろう? ちなみに、マッキントッシュ社でエンジニアの数は400人ぐらいらしい。「船頭多くして船山に上る」というのは本当のようだ


(4月26日 記)

ええ、知り合いから大量の苦い夏みかんを頂いたので、恒例のマーマレード作り。
ちょっと甘く見て「ながら作業」をしていて、少々、煮る時間が長くなってしまったので、少し堅めに仕上がってしまいましたが、味はいいので、まあよろし。
しかし、前の晩に、山ほどの夏みかんの皮の白いところをこそげていたので、なんか、右の鎖骨の下あたりが妙に凝っております。普段使わない筋肉だものなあ。

ついでに、小アジを見つけたので南蛮漬けを作っておきます。ああ、ひさびさだな料理話題は。

と、余裕ができたところで、取りかかる作業がありました。
数日前、知人から、半分壊れたPCをもらいうけてきたのです。

SONY VAIO のノートブックなんですが、なにかってとわけのわからないエラーメッセージが出るのはWindowsの「仕様」なんでしょうがないとして、そのノートくんは、すでに Ethernetカードの入り口も壊れてしまったのでインターネットができないし、CD-Rも読み込みはできるけど、書き込みが不安定。しかも、ウイルスやらスパイウェアをたらふく溜め込んでいるらしく、やたらフリーズする.........ので、見切りをつけて、iBookを買ったとのこと。それは、かしこい選択かも。でも、まだいちおう動くのに、捨てるというのはもったいない(笑)ので廃品回収。
中を初期化して、再インストール。とはいえ、古めの機種なので、Windows2000。

Ehernetカード挿入口はやはり死んでいたので、秋葉原で捨て値950円也で売っていたUSBタイプLANアダプタを突っ込んで、インターネット環境を復活。CD-Rは、書き込みできなくても、読み込みができれば大きな支障はないので。
これで、Windows+IE環境での環境テストができるようになりました。

あと、VAIO附属のソフトは、重いのが多い (か、期間限定試用版ばっかり) ので大半をアンインストールして、OpenOffice (フリーでMicrosoft Officeとほとんど互換) とOedit (これもフリーのエディタ。html書くのに便利) とFFFTP (これまたフリーのftpソフト) 入れ、趣味のいい壁紙とスクリーンセーバいれて、Yahoo! Widget をいくつか飾ると、なかなかいい感じ。
で、どうせだから、IEとGecko (Firefox) の両エンジン搭載の大阪発新ブラウザ Sleipnir もいれました。
これ、使えます。
IEエンジンのほうは、IEの致命的問題(cssの読み込みがむちゃくちゃ)は持っているのですけどね。逆に言うと、IEでの動作確認用とか、いまでもたまにあるIEでしか読めない(あるいは動かない)馬鹿ページ用に、IEと同じように使えるわけです。
で、その一方、タブブラウジングもマウスジャスチャもできるし、しかもセキュリティは良くて、軽快!
ツールもちょっと便利なのがデフォルトでいろいろついているので、Firefox に拡張機能を一個づつ相性確認しながら、ばりばりにカスタマイズするような暇のない人には、特にいいかも。
と、ここで「かなり得した」気分になれたので、もう一歩踏み込んで、Linux も入れてみることにみましょう。
待て、次号。


(4月18日 記)

ペルーでは、いまだに選挙結果が正式に発表になりません。
海外投票総数が多いからだとかいう話ですが、それにしたって、ゆっくりしすぎている感じはいたします。(註:結局終わったのは25日)

この間に、決選投票でのウマラ候補の当選をなんとしてでも阻止するべく、2位3位候補は、フジモリ派なども巻き込んで(こうなると、4%も重要)、合同戦線を組むらしい。

で、ペルーの友達からのメール。(ペルーでいまはやっているジョークらしいです。チェーンメールの可能性あり)

大統領選開票の結果:
外国に行く航空券を購入 30.56%
太平洋を泳いで逃亡 25.98%
心臓発作 25.97%
国籍変更 6.7%
ただ神に祈る 4.6%
自殺 6.19%
合計 100%

その一方で、アメリカ各地で行われていた新移民法反対のメキシコ人デモ、こちらもまだまだ余波が続いております。

このデモに参加したことを理由に解雇された人たちが出ているほか、デモのリーダーはもちろん、デモに賛同表明をしたロセンザルス市長や移民コミュニティの人たちに、人種主義者右翼から生命の脅迫が来たなどということから、さらに、ある意味、盛り上がっています。

5月1日メーデーに、アメリカ合州国内のメキシコ人は、仕事ボイコット行動を起こす予定。
同時に、メキシコ国内のメキシコ人にも、連帯行動として、アメリカ製品不買運動を呼びかけています。これにカトリック教会も積極的に同調しているので、かなり大きな抗議行動になるかもしれない。

日本でもメキシコが好きな人、また、べつにメキシコが好きではなくても、少なくともこないだのWBCで、メキシコのおかげで日本が準決勝に進出でき、結果として優勝できたという事実に、少しでも感謝の意を表したい人は、5月1日には、アメリカ製品を買わないようにいたしましょう。

ところで、La Jornadaでは、ついでに、ブラウザ Firefoxのキャンペーンもやっているので、なんかさらに親近感を感じてしまうな。(笑) なんと、ワンクリックでLa Jornadaの紙面検索ができるFirefox用検索窓まで用意してくれたので、超便利。


(4月13日 記)

ワシントンポストのスクープ。

アルカイダの指導者ザルカウィの存在そのものがアメリカの捏造、とワシントン・ポスト紙がスクープしました。

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/04/post_b983.html

こちらのリンクでも、少し前の話ではありますが、「ホワイトハウステロ警報ヤラセ疑惑」がかなり具体的に指摘されています。

http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/10/post_2a00.html

もっとも以前から、これはすでに言われていたことではありますし、日本でもすごく似たなことがありますよね。自民党のトラブルがあるたびに、ホリエモンが失脚したり、武部氏の疑惑問題が大きくなって、自民党への風向きが悪くなってくると、偽メールが現れる。

この点に関してだけは、日本はアメリカを参考にしつつ、さらにソフィスティケートされたやり方をしているという感じです。


(4月11日 記)

つい先日、ベネズエラで「貧しいスラムの子供達におもちゃをプレゼントしてあげに」貧困地区に入った在ベネズエラ・アメリカ大使が、スラムの住民達にトマトや卵をぶつけられて、ほうほうの体で逃げ出したという、とっても笑える事件があったようです。

子供にノートや野球のグローブなんかを配るところを、新聞記者かなんかに写真撮らせて、「貧しい人たちに愛されているアメリカ」をアピールしたかったんでしょうが、逆効果でした。

ふつう、子供ってのは、朝のラジオ体操の景品でもらえるノートごときでなんとなくうれしいなれるように、とりあえず、なんかプレゼントを配ってくれる人には愛想ふりまいて笑顔で答えてくれますし、一方で、子供は純粋という広く流付した誤解がありますから、「みんなに好かれている人」ぶった写真が欲しかったら、一番簡単な方法なんですけど、さすがに、今のベネズエラ国民はちょっとかしこくなっています。

さて、ペルーの新聞の選挙報道です。

ラ・レプブリカ紙
http://www.larepublica.com.pe/elecciones/

エル・コメルシオ紙
http://www.elcomercioperu.com.pe/online/

エスプレソ紙
http://www.expreso.com.pe/

エル・ペルアノ紙
http://www.elperuano.com.pe/

最大得票はオジャンタ・ウマラ候補として、2番が、アラン・ガルシアかロウルデス・フローレスかというところが、どこの出口調査を信用するかというとこで割れていますが、日本での報道と違い、片岡さんの話などどこにも出ておりません。
日本から「フジモリ関係の記事をとってこい」と命じられているので、なんか書かざるを得ない記者は別として、ペルーの新聞でも取材があったというのは事実かもしれませんが、ネタとしては、しょせん泡沫ということで。ま、どんな泡沫候補でも選挙事務所とか支持者集会はそれなりに盛り上がりますから、そういうところで写真撮ればいいだけなんですけど、日本の記者さんもご苦労様です。

その、フジモリ夫人片岡都美さんについては、もはやご存じの方も多いでしょうから、ここであえて書きますまい。婚姻届を出したのはこないだですが、もうかなり前から、「事実婚」でお暮らしでした。
大手紙の記者の人もちょっと書けないでしょうけど、特高万歳・靖国魂が座右の銘であるばりばりの(というかほとんど狂信的な)右翼の方で、任侠関係(つまりヤクザ)との関係も隠さないという、ある意味、堂々とした、わかりやすくブラックな方です。
数億円の所得隠しで国税庁にアゲられてもいます。

ただ、こういうわかりやすい人を夫人にして、日本での庇護者である曾野綾子さんとか石原さんとか、ちょっとまずくないの? どうせ、一流紙は自主規制するし、フジモリさんの麻薬マフィアとのつながりや人権弾圧だってあまり表に出さないでこられたんだから、一般大衆にはわかりゃしないって感覚なんでしょうか。

実際、産経新聞なんて、ウマラ候補がトップの得票率で決選投票に進んだのは、フジモリが獄中で出馬できないせいで、そのおかげで貧困層の票を吸い上げられた、なんて書いていますもんね。ううむ、事情を知らない人にはなんて説得力のある話だ。

ちなみにウマラ候補は、金持ちの地区で投票を行って、拍手半分と、「臆病者!」とかいう罵倒半分を受けたそうです。ウマラが、フジモリの圧制下に反乱を起こして、失敗して刑務所に入れられたことを指しているのでしょうか。


(4月10日 記)

ペルーの大統領選挙。決選投票に持ち込まれそうではありますが、それでもオジャンタ・ウマラ候補はトップで決勝進出。
フジモリ氏の新夫人がペルー入りされたそうですが、とっくの昔にフジモリ陣営などは泡沫候補となっていたのをご存じなかったのか。ちなみに、フジモリ系候補は、出口調査では4%程度のようです。

彼自身、本気で大統領選に出馬するつもりで、のうのうとチリに出かけて、あっさりチリ官憲に逮捕されて、いまも獄中ですが、今のラテンアメリの政治状況を完全に読み間違えたというよりも、極右傾化日本で曾野綾子さんや石原慎太郎さんにちやほやされて平和ボケしたんでしょうな。

フジモリさんが逮捕されても、まだ、日本のマスコミは「それもフジモリ戦術のうち」とか言ってヨイショしていたところもあるほどですから、フジモリさんも本気で勘違いしていたのでしょう。なんたって、ペルーとチリは仲の悪い国ですから、「万一逮捕されたら、ペルーの自分の支持層が、反チリデモかなんかやってくれるんじゃないか」...みたいな。

それでも、NHKのニュースなんて見ておりますと、「ホントはフジモリ支持」みたいな人の発言が報道されておりまして、「フジモリ氏が出馬していたら、大統領返り咲きも無理ではないほど、今でも彼の支持はほんとは高い」みたいな空気をつくるのに必死でしたが、あれ、じつは簡単なんです。

フジモリは在任中に、人気取りと宣伝のために、特に自分の支持者が多かったところに、いわゆる「モデルケース」のスラムや村をいくつか設定し、そういう地域に大量の援助を投入したわけです。
だから、そういう「モデルケース」地域は、フジモリのおかげで「いいことがいっぱいあった」わけで、そこの住民はフジモリ様々。で、外国(特に日本の)マスコミをそういうところに連れて行って取材をさせると、みんなが、「フジモリ大統領のおかげで、生活が楽になった」「いろいろなものが整備されて暮らしが良くなった」などと絶賛する、と。

問題は、それがしょせんモデルケースの中だけの話であって、それ以外の地域での暮らしはどんどん悪化していったわけですが、それでも、スラムの人々に「皆でフジモリを必死で支持することで、モデルケース村に選ばれたら、うちは救われる」という夢を与え続けたことは、彼なりの政治手腕といえるでしょう。

ま、ですから、いまでも「モデルケース村」に行けば(で、NHK相手のコーディネーターの方は、そのあたりにお詳しいので)、「フジモリ賛美」してくれる村人なんていくらでもインタビューできる、とまあ、そういうわけです。

もちろん、フジモリの在任期間中、ペルーの経済が回復したのは事実です。
しかし、それを言うなら、任期最悪の現大統領だって、数字上の経済回復は十分させていましたし、もっとはっきりいうと、90年代のラテンアメリカは、数字上は経済発展を遂げていたのです。

つまり、新自由主義経済理論に基づいて、解雇を簡単にして過酷なリストラを行い、新規雇用を減らせば、人件費は大幅に減少します。従業員に長時間働かせても、リストラの恐怖をちらつかせて、ろくに残業代を払わずにいれば、その効果はさらにアップ。
ついでに、国有のインフラストラクチャを次々に民営化し、ものによっては外資に売り飛ばせば、それは一時的に大きな収益となります。
そんなことをやっていれば、数値上の経済は回復し、株価が上がり、見かけ上の景気回復はするけれど、国民に好景気感などありません。縦並び社会化と、どんどん苦しくなる生活実感が残るだけです。
まさに、イギリス病を退治したと言いつのりながら、国営鉄道も地下鉄網もボロボロにし、実際にはイギリスに貧困とさらなる非能率をもたらしたサッチャー改革の手法で、これを、もともと貧困の問題を抱えるラテンアメリカにも適用した結果、90年代のラテンアメリカの人々は、もうとてもやっていけないほど、疲れ切ってしまった。

繁華街のブランドショップやおしゃれなレストランがあって、見かけ上繁栄している現在より、そんなもののなかった20年前の方が、ずっと生活は楽だったことに、「勝ち組ではない」圧倒的多数の人たちが、みんな気づいてしまったのだし、勝ち組の人たちですら、知的な人たちは「社会が病んでいる」ことに気づいている。
その結果が、ベネズエラのチャベス政権への熱狂的な支持にはじまる、ドミノ倒しのような左派政権の誕生なのです。

それでも、以前なら、心情的に左派政権を選びたくても、それをやってしまうと、アメリカのあらゆる経済妨害・政治的嫌がらせが始まるという暗黙の了解が、いわゆる「信念のある左翼」じゃない人には、「左派への投票」をためらわせたものでしたが、いまや、そのアメリカはイラク問題でそれどころではありません。
それどころか、いま左派となる政権には、石油大国ベネズエラがついています。
もう、天然資源の開発のために、外資企業との、こちらの足元を見られて叩かれるような、不利な商談に苦汁を飲みつつ応じる必要すらないのです。
もちろん、ことはそう簡単に進むとは思えないけれど、少なくとも今の流れではね。

そんなペルーのどこに、フジモリの居所があるでしょうか。

そんなわけで、ウマラの当選は、かなり濃厚なのですが、とはいえ、決選投票となれば、中南米ドミノ倒し化を阻止したい人たちは、全力を挙げて、(というか、いかなる手を使ってでも)第二候補を応援に回るでしょう。
メキシコのLa Jornada紙のコラムなどでは、ウマラ当選を確実視していますが、私は、ペルーはもうちょっと複雑と読む。というか、反チャベス〜反モラレス〜反カストロ派の反撃は、かなり死にものぐるいで来ると見る。(もちろん、フジモリは蚊帳の外)
この綱引き、どちらが勝つか。

ところで、ペルーでは、「投票」は義務であって、行かないと罰金だというの、ご存じでした?


(4月7日 記)

「ユダの福音書」の解読が大きなニュースになっておりますね。

イエス・キリストを金のために裏切ったということになっている13番目の弟子イスカリオテのユダ。なんたって、ああた、西洋で13が不吉な数字とされているのは、このためだったりするのですから、半端な影響力じゃありません。
で、この問題の福音書は、実はそうではなくて、「ユダは13番目どころか、一番弟子であり、イエス・キリストを官憲に引き渡したのも、裏切りのためではなくて、イエスが『肉体から解脱すること』を自ら望み、ユダにそうするように命じたから」という衝撃的な内容。
いかにもトンデモっぽい内容にもかかわらず、その発表を行ったのが、ナショナル・ジオグラフィックで、しかも、精密な科学鑑定や古文書鑑定によって「後世の偽物ではないと断定された」というもんですから、新聞やニュースで「世紀の大発見」と報じられております。

ええと、ちょっとお待ちください。それをまるのみで信じてはいけません。
ナショナル・ジオグラフィックをよく読めば、「本物と断定」しているのは事実ですが、「コプト語で書かれた紀元2〜3世紀のもの」ということを断定しているのです。つまり、トリノの聖骸布みたいに、中世以後に作られたものではなくて、「古代」であるというだけ。
実際にキリストがなくなってから、なんと、200年以上経ってから書かれたものなわけです。

で、ここでポイントとなるのが、それが、ギリシア語からコプト語に翻訳されたものであるということ。
紀元2〜3世紀の古代コプト語の文書といえば、忘れてはならないのが、ナグ・ハマディ文書です。
これは、エジプトのナグ・ハマディで、1945年に発見されたグノーシス派キリスト教の文書。

さて、このグノーシス派、世界史では、ネストリウス派と並んで、キリスト教の初期の異端のひとつと習います。
しかし、20世紀に入ってから研究が進み、そもそもギリシア哲学に端を発するグノーシス主義とでも言うべき二元主義的思想があって、これが原始キリスト教を取り込み、紀元2〜3世紀にかけて、非常に大きな勢力となったことがわかってきます。これが成立し始めたカトリックとの勢力争いになって、結果的には勝てば官軍、勢力争いに勝利したカトリックから「異端」とされて、徹底的に弾圧されたわけです。

とはいえ、ただの勢力争いとも言い難い。なぜなら、グノーシス派は、カトリックと根本的に考え方が異なったものだったのです。

で、このグノーシス主義。
世界史が得意だった人なら、グノーシス主義はアジアにも伝播してマニ教となったとか、12世紀南フランスで盛んになり、アルビジョア十字軍や異端審問がおこなわれるきっかけを作って、大弾圧を受けたカタリ派も、このグノーシス派の影響を色濃く受けていたというのを、どこかで読まれたことがあるかも。シュタイナー系神秘思想にも、その影響が。
はい。そうなのです。
発見された「ユダの福音書」は、明らかに「そのグノーシス系文書」のひとつなのです。

で、このグノーシス主義の思想から見れば、福音書の解読そのものは発見ですが、内容は衝撃的なものではないのです。というか、「精神の肉体からの解脱」というのは、グノーシス派の思想そのまんま。
つまり、この「ユダの福音書」は、「グノーシス主義的解釈によるキリストの死」を著したものであって、べつに「衝撃の新事実の発見」ではないのです。世紀の大発見というほどのものではありません。

ちなみに、このグノーシス系の文書の多く、いわゆるコプト語で書かれた聖書外伝とよばれるものには、たとえば、マグダラのマリアがイエスの側近中の側近、男の弟子たちと同格(あるいはそれ以上)の存在であったとか、そもそも、イエスは弟子たちと自分とが対等の存在であると主張していたとか、カトリックから見れば「とうてい容認できない」内容を含んでいます。
というと、ピンとくる方。
そうです、これは、少し前に大ヒットした「ダヴィンチ・コード」のネタ本。

そんなわけで、この「ダヴィンチ・コード」。
ヨーロッパのカトリック教会に行くと、入り口に「読んではいけない本・ダヴィンチ・コード」だとか「ダヴィンチ・コードの誤りを追求する」などというチラシが並んでいたりするのは、そういう理由もあったりするのでございまして、おそらくは、今年の下半期は「読んではいけない本・ナショナル・ジオグラフィック」だとか「ナショナル・ジオグラフィックの誤りを追求する」とかいうチラシが並ぶんだろうな。 ま、はっきり言いますと、ナショナル・ジオグラフィックの上手な宣伝ということです。
というわけで、しばらくは新聞やテレビでは「大発見ネタ」でかまびすしいでしょうか、教会が聖書を書き換えるというようなことはありえないということで。


(4月6日 記)

ええと、サイトの件、というか、マイクロソフトが特許訴訟で負けた件、続報。
詳しい情報がありました。

えーすごいです。従業員一人の個人企業、つーか、ほとんどSOHOみたいなのが、マイクロソフトを訴えて、勝ってしまったと。
もちろん、ここまでの裁判費用に耐えたわけですから、その「一人」もなかなかの根性です。

(ちなみに、技術系の人によると、このActive Xの技術は、FirefoxやSafariはそもそも使っていないのだそうです。Firefoxが「企業ではないので訴えられない」というのは私の間違いでした。)

んで、マイクロソフトでは、あほみたいなJavascriptで対応しようとしていると。
この外部JavaScript、仕組みそのものはたわいないもんで、じつは、私のサイトにもスパムメールのために多用しています。
要するに、自分のメールアドレスをサイトの中のページに書いてしまうと、スパム蒐集ロボットに採取され、それがスパムメールとなるわけ。

自分でブログやサイトを持っていて、スパムメールが何十通も来るという人は、たいていそれが原因です。で、これを防ぐために、メールアドレスを「表示しているように見せかけながら、暗号化する」テクニックはいくつかあって、そのうちのひとつが、このJava Scriptを使ったもの。

しかし、いわゆる「ホームページ制作会社」を名乗っているところでも、ITバブル時代に立ち上げた、非常にレベルの低いところはけっこうあったりします。

プロを名乗るくせにホームページ作成ソフトでまるまる作っていて、html文法の基本すら(よくわかっていないというレベルではなくて)まったく知らないのではないかとしか思えないようなところ。そういうところは、ソフトが自動生成して、自動挿入してくれるJavaScriptをはめることしかできないから、サイトの書き換えもへったくれもないのではないのかしら。いやいや、そうなればそうなったで、その問題に対応したソフトの新バージョンが出るとは思うのですが、ひどい会社ほど、見た目さえ小綺麗にできればいいという感覚で、古い時代遅れのソフトを平気で使っていますから、何が起こったのかすら理解できずに、パニックに陥る会社も出てくるでしょうね。

ま、スパムにも、いろいろあって、ときには楽しませてくれるやつもあります。
「アメリカに移民して一財産築いたキム何某氏が、子孫を残さぬまま、昨年10月にお亡くなりになった。当弁護士事務所は、煩雑なる調査の結果、あなたがキム何某氏の遠縁に当たることが判明し、数千万ドルの遺産を受け取る権利があると認定した。そのためには....」
なんつーのは、なかなか笑えましたぜ。「キム何某氏」というのがカユいですな。やはり連中にはアジア人はみな同じに見えるらしい。自動生成スクリプトで名字を取得して「ヤギ氏」とかにするとか、
せめて「ヤマダ氏」にすればいいのに。
あと、いくつかのバージョンがある、「アフリカの元大統領の莫大な隠し財産を一時預かってくれ」ネタね。
英語バージョンにこれだけ楽しいのがあるんだから、日本語スパムだって、M資金ネタとかあるといいいのに、大半はエッチメール系・出会い系ですなあ。


(4月3日 記)

ええと、さっきまで、「おたっきーなエイプリルフール」だと思っていた情報が、事実だとわかりました。

マイクロソフトがまた特許訴訟で負けたので、6月以後、IEでは、Java AppletやFlashのページが直接見られなくなるようです。
というか、AdobeのReaderやFlash、AppleのQuickTime Player、MicrosoftのWindows Media Playerなどをつかったページでは、「このページを読むために、Active Xを起動していいですか」というような警告(初心者には意味不明なので、「いいえ」を選択する人が多いだろう)が出て、ボタンを押さないと、次に進めない、というか、Flashが見られないようです。まじ。

Web製作者には、サイト書き直しのために、60日間くれるそうです。(馬鹿野郎!)
Flashを売りにしていた業者なんて、パニック状態に陥るところや、潰れるところがばたばた出てきますね。

ま、うちのサイトはFlashもJava Appletも使っていないので、関係ないかと思っていたら、Microsoft社の技術情報関連ページを見たら、すごく基本的なJavaScriptの多くも「いちいち許可を求めてくる」ようになるようです。がぁーん。
まあ、当サイトに関してだけなら、実害としては、ボタンの色が変わらなくなるぐらい.....だと思うのですが(たぶん)

ちなみに、Windows機でも、Firefoxでは今後とも問題なく見られるようです。(Firefoxはオープンソースソフトのプロジェクトであって、企業ではないので訴えられないらしい)。Safariも大丈夫みたいですが、いちおう、Internet Explorerはシェアがでかいだけに、まさか、八木のエイプリルフールのように、「Internet Explorer以外のブラウザでご覧ください」なんてわけにもいかず、業界では

  1. すべてのWeb製作者が、このニュースを知って、泡くって早急に対応する。(大手メディアで報道されているわけでなく、現段階では告知がまったく不十分なので、現実的にはあり得ないと思う)
  2. 多くのサイトが一気に書き換えられるとは考えられないため、6月以後、Windows機を購入した人やアップデートをした人の間で、大混乱が起こる。
  3. 6月以後、ブラウザ乗り換えが一気に加速し、IEが少数派に転落する。
  4. 6月以後、Windowsのアップデートをやめる人が急増し、ウイルスが大蔓延するなど、Windows機のセキュリティが今以上に悪化する。
  5. 上記の状況に直面してあわてたビル・ゲイツが5億ドルの和解金を払って、もとの状況に戻る。

どうなるか、戦々恐々です。


(4月2日 記)

ええと、論文はもちろん冗談です。見てくれはまるで本物のようですが、偽物です。真剣に読まないように。

これは、「論文生成ジェネレーター」というものでつくった代物です。ただし、これで作った偽論文が、the World Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and InformaticsというIT関連の学会で審査を通過したという実績があるそうです。もちろん、ドクター中松のテスラ学会ではありません。(ま、ここだって通りそうだけどさ)

さて、ブラウザと環境の件です。
かつて、NetscapeとInternet Explorerをめぐるブラウザ・シェアの争奪戦について、このモノローグに書いたことがあります。
結論からいうと、無償化&ウィンドウズにあらかじめ標準装備するというビル・ゲイツ氏の戦略と、Netscape Comunicatorという致命的にバグの多いブラウザを出したNetscape社の自爆との両方の理由によって、Netscapeは事実上壊滅し、Internet Explorerがシェア99%までを得たのでした。
とはいえ、その結果、独占状態に陥ったInternet Explorerが安穏と開発を怠っている間に、Netscape社が最後のあがきとしてソースコードを公開。これに、世界中のボランティアの開発者達が加わって、新プロジェクトMozillaを立ち上げ、新しい、そして、Internet Explorerよりすぐれたブラウザを作り出す努力を始めた、というところでした。

さて、ここで、みなさま、asid faceという言葉をご存じでしょうか。直訳すると「酸っぱい顔」

ホームページ、正確にはウェブサイトというものは、ハイパーテキスト言語、つまり、html (hyper text markup langage)で書かれています。要するに、ホームページは、ハイパーテキスト語という言語で書かれているわけですね。
で、言語ですから、文法があります。その文法を定める機関というのもありまして、いろいろと「正しい用法」と「間違った用法」について定められています。
安物のホームページ作成ソフトで作ったサイトは、要するに、安物の機械翻訳ソフトを使って翻訳するようなものですから、この文法がめちゃくちゃになって、実際は、言語として意味不明になっていたりするわけであります。(そういうページはかろうじて見えているけれど、将来的には見られなくなったり、表示が重かったり、汚く見えたり、違う環境では見られなかったり、といろいろ問題が起こります)
もっとも、この「安物」というのは、必ずしも価格の問題ではなくて、Linkでご紹介しているNVUのように、無償配布であるにもかかわらず、実に美しい文法を書き出してくれるソフトもありますからバカにできません。安くてもおいしいレストランがあるのと同じ...?

ええと、それで話戻りますが、ところが、なんと、ブラウザの方がバカで、正しい文法を認識しないということも起こっています。
エイプリルフールの冗談が見えなかった方は、その可能性が.....。

で、そこで出てくるのが、acid face。
あなたのお使いのブラウザで、http://webstandards.org/files/acid2/test.htmlにアクセスしてみて、Take the Acid2 Testというリンクをクリックします。
そこで、綺麗なお顔が表示されたら、テスト合格。文法解析度完全。見えないとか、ぐちゃぐちゃに潰れて見えたら、それだけ文法ミスが多い、ということです。
この時点で試された方はすでにお気づきでしょう。Internet Explorer5.56は、潰れているとかいない以下。
Firefoxは、去年春の時点で、すでにこのライン。 このころ、Microsoft社では、「しかし、他のブラウザでも完璧な顔が見えるわけではない。Internet Explorer7では、完全なacid faceにしてみせる」と負け惜しみをおっしゃっていましたが、昨年夏の7リリース直前になって言葉を濁し始め、7は結局、この有様。
(ちなみに、先日、新OS、Vistaの発売も延期になりましたね)
その間、非マイクロソフト陣営では着々と改良を進めていて、こんなに赤面していたOpera8.0ですこし恥ずかしい程度、ほぼ合格

前は真っ赤っかだったSafariも新しいバージョン2.0では、一足飛びにもう完璧
ちなみに、八木が最近ちょっと気に入っているシイラも完璧。 2005年5月の時点では、「いつ」「どの」ブラウザが完全な顔を表示できるか、ということが課題だったのに、すでに達成。
ほんのついこないだまで、顔が原形をとどめていなかった iCabなんていう超マイナーなブラウザですら、バージョン3ベータ版で完璧な顔です。Macintoshが公式ブラウザとしてサポートしているSafariはともかく、iCabみたいな金のなさそうな陣営でこれだけちゃんとできるのに、Microsoft社はいったい何をしてたんでしょうか。技術力ほんとにあるの? いや、顔が崩れるどころか、まったく表示さえされてなかったぐらいだから、とりあえずの目標が、「なんか表示」だったりして....いやはや。


(4月1日 記)

さて、エイプリル・フールの悪戯、お楽しみいただけましたか?

といっても、環境とブラウザによっては、普段と変わらず表示されたようです。すみません。罰として、コンピュータとインターネットに関する論文を書きましたので、お読み下さい。来年4月にティファーナで開催されるインターネット関連の学会で発表する予定です。ウイルスは入っておりませんので、ご安心を。


(3月29日 記)

ええ、日本中がメキシコに感謝した日(笑)から半月。
やはり日本ではあまり報道されていませんが、アメリカではあのWBCのアメリカ・メキシコ戦を現実で行くようなことが起こっております。

もとはといえば、アメリカの可決しようとしている新移民法案。
簡単に説明すると、とりあえずいますでにアメリカにいる不法移民に滞在許可を与えるかわりに、今後の不法移民に対し手厳しく接し、また、アメリカ・メキシコ国境にもベルリンの壁みたいな障壁を設けようというもの。ま、明らかにメキシコを標的としたものです。

ブッシュのポチ仲間である右派フォックス大統領は、もう任期切れわずかということもあって、この法案に賛成しておりますが(支持率激低下で、彼の政党PANが大統領選で勝つのはもはや絶望的なので、あとの就職のことを考えているのが見え見え)、一見アメをちらつかせているようで、実質的には、今後、移民には厳しくなるということで、ラテン系住民は猛反発。
メキシコでは、反米感情が高まっているのはもちろんとして、在米ラテン系移民も抗議行動に立ち上がりました。シカゴで始まって、ロサンゼルスを経て、一昨日はワシントン。昨日は、最大規模で、デトロイト、ボストン、ウィルミントン。
この2週間で、計 数百万人以上が「動いた」とされています。
ふだん、目につかないところで働いている(といっても、ロサンゼルスはすでにダウンタウンはメキシコ化しているのだけど)メキシコ人達が、街の中央広場や繁華街などに数十万単位で集結して、「アメリカの大都市の中枢を『まるでメキシコシティ』と化する」というプロジェクト。
政治団体や既成の市民団体の主導などではなく、ゆるやかな口コミにより作られた「メキシコ人に国境はない」という凄い名前のグループ主導のものらしいですが、なかなか壮観であったらしい。
むろんまったく平和的なデモなのですが、「私たちは(数が)これだけいるんだよん。本気で怒らせない方がいいと思うよ....もちろんわかるよね」という暗黙の意思表示というわけです。

http://www.jornada.unam.mx/2006/03/28/022n1mig.php

WBCで、ラテン系の応援が凄かったのに驚かれた方も多かったでしょう。
しかも、アメリカではもっとも嫌われている国であるはずのキューバの応援が、あのサンディエゴ、ペトコ・パーク球場の7割を占めて、そりゃもうすごい大声援だったといいます。いうまでもなく、キューバ人は応援団を編成してアメリカに乗り込むようなことはできませんから、あれはほとんど、アメリカ在住ラテン系(その大半はメキシコ系)の応援だったわけです。なんたって、カリフォルニアですからね。

(ちなみに、いまロサンゼルスの人口の44%は、ヒスパニック=ラテン系)

ま、あえて冗談がわからない人には誤解を招きかねない表現であるのは承知の上で言いますと、北朝鮮の美女軍団みたいなののクバーナ版みたいなのを見たかったような気はちょっといたしますけど......
トロピカーナのトップダンサーで編成して、必要最小限の布地と大量のスパンコールを使った衣装で、すごいきれいな混血のおねえちゃんたちが、頭にでかいシャンデリア状の電飾を乗せて、サルサやチャチャチャを踊りまくり、ホームランやファインプレーが出たら、直列つなぎの電飾が一斉に光るとか....。それはそれで野球史に残っただろうに...,,いや、誰も野球見なくなっちゃうか.....かのデビットソン氏だって思わず2塁打をホームランに裁定するかも....。


(3月26日 記)

ちょっと前の話になりますが、日本でも人気の高いジャン・レノの主演映画で、『クリムゾン・リバー』という作品があります。

原作は、ジャン=クリストフ・グランジェという若い作家の書いたフランスでの超ベストセラー小説
フランスにおいては原作が有名だったために、ややはしょった形で映画化され、そのため、原作を知らない日本では、「いまいちわけがわかんない映画」「そんなのありかよ的結末」のレッテルを貼られてしまいましたが、この原作そのものは、とてもしっかりした面白い小説です。
で、じつは、主人公(映画ではジャン・レノ扮する)の刑事の相棒となる、もう一人の主要登場人物は「アラブ系フランス人」という設定。それも、ばりばりのアラブ系2世。フランスで生まれ育ったために、すでにアラビア語も理解できず、ムスリームでもない。だから髪をレゲエ頭にしている。周囲の友達はみんな不良。本人も不良上がり。
これ、まさに、しばらくまえにフランスで大暴動を起こした人たちの「典型的パターン」です。この原作では、彼のようなアラブ系フランス人の問題も重厚なテーマとして、流れているのです。

で、フランスで、アラブ系の若者達の大暴動があって数ヶ月。またもやデモとスト激化。こちらもやや破壊的になっております。
これは新規雇用者を2年間の間なら無条件解雇できるという、おいおい19世紀かよと言いたいような、むちゃくちゃな法案のせいですが、これ、日本にいるとピンと来ませんが、もちろん、移民系の人をターゲットにしたものです。でも、フランスを始め、ヨーロッパ諸国でも、アラブ系やアフリカ系、東欧系の移民が大量にいて、社会の末端(とはいえ、ある意味、一番重要な部分)を担っているのは周知の事実。
旧宗主国と植民地という関係のために、いまでも、ヨーロッパとアフリカ、東南アジア、ラテンアメリカとの関係は、日本人が「地図で見ている」もの、「歴史で習った」ものや、「観光的イメージ」とかなり違う色合いを持っています。

まあ、アメリカだって、どれだけのラテン系住民がいるかは、アナハイムやサンディエゴの野球の応援席で明らかだったわけですが....


(3月17日 記)

いやあ、メキシコやってくれましたね。

野球マイナー国にもかかわらず、しかも、日本戦とのあとに選手がディズニーランドに遊びに行くというリラックス度で、アメリカに勝つとは、さすがメキシコ、シュールレアリズムの本家本元。
最後の底力で、毎度期待を裏切ってくれる国です。
(細木数子なら、「期待を裏切る」と言ったところが当たったというのだろうな)

しかも不利な誤審(というより、あれは明らかに意図的なものでしたね)を2回もされていながら。あれがなければ、2点差以上の差を付けていましたから、日本は準決勝進出できたのに残念なことです。というかアメリカにすれば、2点差以上で負けたら。準決勝入れずという恥をさらすことになりますから、審判団も必死だったのでしょう。さすが、自由の国アメリカですな。
このような意図的誤審は、日本戦でもありましたし、もちろんキューバ戦ではいうまでもありません。キューバ戦なんて、しかも抗議した監督を退場処分にしちまって、それでも勝つキューバ。

(※これは私の勘違い。メキシコが2点とったので、日本が準決勝進出でした。訂正させていただきます)

しかし、この日本での一度の誤審ならともかく、日本の準決勝進出がかかった、このメキシコーアメリカ戦で、同じ審判が2度も誤審したとなると、日本側からの抗議は大きいでしょう。次回開催までに、この件に関して何らかの発表がない限り、各国ボイコットもあるかも。

などと言っている場合ではありません。ライブの準備しなくちゃあ。メキシコの曲も歌いましょうね。


(3月16日 記)

いやあ、今日のイチローくんの怒った顔は怖かったですね。
そして、明日という日は、日本中がメキシコを応援するであろう日です。メキシコがここまで注目されるのは、1968年のメキシコオリンピック以来じゃないでしょうか。(もちろん、2006ワールドベースボールクラシックの話です)

しかし。
そうはいっても無理でしょう。いや、私はメキシコを愛する人間ですが、それとこれとは別です。サッカーならともかく、野球に熱中するメキシコ人を見たことはありません。もちろん、米メジャーリーグにメキシコ人はいるかもしれませんが、メキシコで野球が好きなのは極端な少数派です。国家そのものが、いま、気合いが入って上昇気流に乗っている韓国に日本は不覚を取ったかもしれませんが、まさかメキシコに負けるほど、アメリカは弱くないでしょう。
もちろん、メキシコはシュールレアリズムを地でいく国です。「ときどき信じられないようなこと」を起こします。しかし、期待を裏切るということでは定評のある国であることも忘れてはなりません。おまけに八木の占いは、細木数子より当たるらしいのです(爆)

さて、だからというわけでもないのですが、それでも、いちおうメキシコを想い(というか、ここ数年来ないほどメキシコが話題になった今日と明日を記念して)、ポソレを作りました。
ポソレというのはですね、メキシコでは大変ポピュラーであるにもかかわらず、日本のメキシコ料理店で絶対出てこない、料理のひとつです。
簡単に言うと、トウモロコシのスープ(シチュー)なのですが、具が多いのでかなり食べ応えがあり、ダシは豚骨なので、そう、とんこつラーメンが好きな方は絶対にはまる料理です。
とはいえ、家庭で豚骨スープを取るのはめんどくさいので、鶏ガラで代用。ま、コンソメでもいいんですが、今回はいちおう、鶏ガラでちゃんとスープを取ります。
一方で、一晩水に漬けておいたポソレ用のトウモロコシ(ふつうのトウモロコシとは違って、白くて大粒の品種です)を圧力鍋で軟らかくはじけるまで煮て、鶏ガラスープに入れます。そのあと、豚もも肉を固まりのまま入れ、アクを取りながら、肉に火が通るまでぐつぐつ。
火が通った豚肉を取り出して、ちょっと冷ましてから、肉を手で細く裂きます。
スープを味見して、塩胡椒を加減し、隠し味にちょっとだけ牛乳を加えて、「一見豚骨スープ(笑)」のできあがり。
さて、ここまでの具は、とうもろこしでだけですが、器に取り分けたとき、(メキシコでもラーメン鉢ぐらいのシチュー皿で食べるのが普通なので、ラーメン鉢推奨)上に、さきほど手で裂いた肉をたっぷり乗せます。
それとは別に薬味を準備。
薬味は、生玉葱の微塵切り、レタスの千切り、ラディッシュの薄切り、生香菜の微塵切り、乾燥オレガノ。これを好みで振りかけます。
日本ではポソレ用のトウモロコシは手に入らないので、ひよこ豆などで作っても美味しくできるのではないかしら。


(3月11日 記)

追記です。前言撤回です。

歴史から学ぶという発想ができず、自分に都合良く歴史を解釈し、場合によっては捏造もいとわないからこそ、彼らは歴史修正主義者なのでした。


(3月9日 記)

いやあ、今年の風邪は、胃腸に来ますな。
そういう噂は聞いていましたが、私もやっちまいましたが、
昼頃から、急に「頭痛、胸のむかつき、軽い吐き気、だるさ」
ええと、二日酔いと酷似した症状であります。
最近酒量が減り、かつ、かつてのような馬鹿呑みすると二日酔いに見舞われる最近の八木ではありますが、いくらなんでも、酒も飲んでいないのに二日酔いになるのか(爆) と思ったら、これ、風邪でした。
もうほとんど直ったのですが、気温の変動が激しい時期ゆえ、皆様、お気をつけ下さい。

さて、某大手出版社の方より、細木数子より的中率が高いと言われた(そんなこと言われたって、ぜんぜん嬉しくないぜ)八木のモノローグですが、先日、「作る会」を話題にしたとたん、「新しい歴史教科書を作る会」が内紛になってしまいましたそうですな。(しかも、BBSでも偽書が話題になっていたところなので、なんてタイムリー)

以前より、作る会は実質的には動員力などなく、ここ数年は、その集会などは動員された「キリストの幕屋」という「宗教関係者」で過半数を占められていて、その結果として、その強い影響下にあるというのは知られていました。
そして会の中心人物であり、そもそも問題の教科書執筆者でもあった西尾幹二が一月に会を辞めたころから、本格的な内紛が明らかになってきました。彼が居づらくなったのは、小泉政権に批判的だったからでしょうか。
http://nishiokanji.com/blog/2006/03/post_298.html

で、要するに、このたび、会長の八木秀次氏(念のため書いておきますが、同じ名字とはいえ、私とはなんの関係もありません)が解任され、その件の宗教団体、はっきり言うと「キリストの幕屋」に完全に代表権も乗っ取られたと。
新代表の種子島教氏は、近年、ミルトスというかなり個性的な出版社から、著書を出しているイスラエル大好きな方です。もちろん、私はユダヤ陰謀論なんて信じていませんし、私だって「ゴーマニズム宣言」や石原慎太郎氏の著作を出している出版社や、「ノストラダムスの大予言」で有名な五島氏の著作を出していた出版社からも著作を出したことがありますから、偉そうなことは言えないかもしれませんが、しかし、それらの出版社もここまで個性的ではありません。

しかし、歴史修正主義とイスラエル好きがなんで、クロスオーヴァーするのかというと、氏の主張を読めば、なんとなく納得できないこともありません。もっとも、過去の歴史で民族分断や内戦多発があったり、外的抑圧が強い国ほど、愛国心が豊かですから、(たとえばキューバなんかもそう)、イスラエル以外の、たとえばキューバなんかに行っていたら、村上龍さんみたいにやっぱりキューバと皇国政治を関連づけてしまうのでしょうか。それはおそろしい。でも、論理をこじつけようと思えばたしかに何でもあります。なんたって、日本は「神々の指紋」みたいなトンデモ本でも、大手メディアに大々的に取り上げられて何百万部も売れちゃう国ですからね。残念ながら、キューバは誰が見たって歴史が浅いので、日キ道祖論が展開しようがないという致命的な難点はありますが。

で、「キリストの幕屋」というのは、終戦後に起こったカルト系宗教団体です。キリストを名乗っていますが、もちろん、統一心霊教会がキリスト教でないのと同様、キリスト教ではありません。靖国神社に参拝し、作る会の動員部分を担当していたわけですから、まあ、教義については察してください。

それと、この団体は日本における有力なイスラエル支持団体で、ミルトス社のサイトにも、イスラエルの有力者の挨拶文みたいなのがありますが、イスラエル大使館やモサドの情報収集力も大したことないとしかいいようがありません。たとえ自称であれ、ユダヤ賞賛団体が、作る会みたいな歴史修正主義系右翼団体を乗っ取ったりしたら、かえって評判を落とすのは明らかですから、断固として、そういうことは辞めさせれば良かったのに。

批判団体だけではなくて、ファンクラブ的団体も、危険であり得るというということぐらいわからないわけじゃなかっただろうに........そこまで情報が入らなかったのでしょう。作る会も本当に大したことないな。

それにしても、宗教団体を動員しないと人が集まらなかった「作る会」。そして利用するつもりで集めた宗教団体に乗っ取られていたら世話ないですね。こういうのを伝統ある日本語で「廂を貸して母屋を乗っ取られる」といいます。歴史もいいですが、国語の勉強をしたほうがよかったですね、なんていうイヤミは言いません。(もう言ってるくせに)。ただ、宗教団体を甘く見て、利用しようと考えるとは、歴史を知らなかったとしか申せません。
いずれにしても、作る会の教科書を採択した自治体は、この状況をどう説明するつもりでしょうか。


(3月6日 記)

菜の花をたくさんいただきました。
菜の花。おいしいですよね。ただ、大量に食べる機会というのはあまりない。
ので、早速いろいろ試しています。

定番の芥子和えは、いろいろなレシピがありますが、私が好きなのは「白だし、マヨネーズ、練芥子、塩」。
白だしというのは、料理の手抜きには欠かせない(笑)液体白だしです。薄口醤油より綺麗な色にあがります。少量のマヨネーズと好みの分量の練芥子を足して、塩をほんの少し補い、よく混ぜたものに、さっと色よく茹でた菜の花を入れて和え、10分ほど置きます。
他の料理とのコンビネーションで、胡麻油を少し入れたりしても格別。

あとは、中華。ちょうど帆立貝柱があったので、さっと茹でたのを一緒に炒めてみました。菜の花は繊細なので、仕上がる直前に入れます。味付けは生姜と塩胡椒にオイスターソース。

翌日はピザです。ソーセージと菜の花。ちなみにピザ台は手作り。というと大袈裟ですが、すごく簡単なのです。薄力粉・強力粉・ぬるま湯を同分量づつ混ぜます。薄力粉100g(粉全体で200g)あたり小さじ一杯のドライイーストとオリーブオイル、塩少々を混ぜて、ボールの中(わたしはジップロックコンテナーの特大を使います)で固まる程度に練ります。最初は菜箸でかき混ぜて、ボロボロしてきたら手で練るのですが、パン作りみたいに真剣に練らなくても、しっとり固まってきたらそれでOK.。その状態になったら丸めて、ラップ(または、そのまま蓋)をして、日向に置くか、こたつにいれて40分ぐらい。
倍ぐらいにふくれたら、オーブンを天板を入れたまま200度にします。その間にテーブルを綺麗な布巾でよく拭いて、綿棒で天板ぐらいの大きさに生地を広げ、オーブンが設定温度になったら天板を出し、広げた生地を載せて、トマトソースを塗り、好きな具を乗せてチーズをたっぷり広げ、オーブンに戻して10〜15分です。
先に天板を温めるやり方は、以前、NHKの番組(ためしてガッテン)でやっていたもの。それまでは二度焼きしていたので面倒くさかったのですが、この裏技、なかなか使えます。
トマトソースは暇なときに作って、小分け冷凍しておくと、ピザはいうまでもなく、スープやソースに重宝。オリーブオイルで微塵切りかすりおろしたにんにくをさっと炒め、白ワインと缶詰のトマト、コンソメキューブ一個、塩胡椒、あればバジルとオレガノを入れて煮つめるだけです。その場でもすぐできます。(ピザ生地をこたつに入れている間とか)
このピザ、かなりおいしいですよ。具は残り物でいいし、それがなければ、アンチョビとかツナ缶でいいし、なにもなければマルガリータ。ただし、生ハムや生バジルとか菜の花は、仕上げに加えます。バジルや生ハムなら焼き上がってから。菜の花の場合は焼き上がる3分前にオーブンを開けて、菜の花を乗せ、その上に追加チーズをちょっとふっておきます。
うちでは二週間に一度ぐらいは作る、日曜の定番のお昼ご飯です。


(3月2日 記)

民主党のメール疑惑。
結局、民主党が評判を落とし、野田氏が除名と。

それで、メールの塗りつぶされた部分が、発信人と差出人が同じだったというのが「偽物の決め手」だったそうですが、それも脱力するほどチャチな手口ですな。
メールを作ったのはライブドアの社員とされていますし、ライブドアの社員といえども、コンピュータの専門職であるとは限らないのですが、(TV局の守衛さんだって、TV局関係者であるのと同じ)、しかし、専門職でなくても、少し知識のある人間なら、もっと巧妙な偽造はいくらでもできます。
はじめから「専門家に調査してもらう必要すらなく、はじめから仕掛けた方に都合のいいタイミングで(つまり塗られていないメールを公開するというだけの単純な一瞬の行為で)、メールが偽物であることが明るみになる」ように仕組まれていたわけでしょ。

やるねえ、といいたいところですが、こんな子供だましに引っかかる民主党って...。


(3月1日 記)

さて、問題のある「レジェンド・オブ・ゾロ」ではありますが、(前作の「マスク・オブ・ゾロ」が実在のゾロと冒険物語のゾロをうまく噛みあわせていただけに残念)、ちょっと面白いトリビアをもうひとつ披露。

この作品には、重要な登場人物として「探偵」も出てくる。それも、ピンカートン探偵社の、である。
ピンカートンといえば蝶々夫人、というのはオペラ好きの話。推理小説好きには、「ピンカートン探偵社」というと、「世界でももっとも初期に設立された探偵社であり、かのハードボイルドの大御所ダシール・ハメットも社員であった」会社。
ハメットの作品に登場する探偵社「コンティネンタル社」はもちろん、ピンカートンでの経験が元になっていると言われています。
世界最初のシークレット・サービスとして、リンカーンの暗殺を阻止した会社としても有名だし、映画『明日に向って撃て!』のブッチとサンダンスを追ったことでも有名。
いまでも、アメリカ最大の探偵社として存在しています。

とくに19世紀後半から20世紀半ばにかけては、警察組織が十分でなかった当時のアメリカで広域捜査(海外捜査も含めて)を行い、いまのFBIのような存在でした。(というか、FBIのモデル)
探偵といっても、初期には鉄道警備なども請け負って莫大な利益を上げ、南北戦争でスパイ活動も行っていたのも史実。その一方で(そこは所詮、営利企業)、労働運動潰し、スト潰しなども積極的に請け負っていたという「裏の歴史」もあります。ま、依頼のためなら手を汚すこともいとわなかったわけで。

じつは、カリフォルニアがアメリカに併合されたのは1850年で、ピンカートン探偵社の設立は同じ1850年のシカゴ。なので登場するにはちょっと無理はあるんですが、この作品の中でのピンカートン社の探偵の扱いは、非常に微妙なもので、「ピンカートン探偵社」とはなにか、ということをちょいと知っていれば、映画中のゾロと探偵との会話にニヤリとできます。


(2月28日 記)

さて、半袖でもOKの暖かいメキシコから、日本に帰ってきました
帰りの飛行機の中で、アントニオ・バンデラス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の「レジェンド・オブ・ゾロ」。

ええと、飛行機の中で見る映画としては最適です。アクションも面白いし、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは綺麗だし。何より、この人、運動神経抜群でトレーニングも積んでいるので、アクションシーンが決まっています。で、アントニオ・バンデラス。この人、いちおう2枚目なんだけど「女に翻弄される男」を演じさせたら当代一流ですね。(「ポアゾン」では、アンジェリーナ・ジョリーに財産丸ごと奪われて、「ファム・ファタール」ではレベッカ・ローミン=ステイモスにぼろぼろにされる....)というわけで、映画としての出来はおもしろい。というか、娯楽作品として、2重丸。

ただし、さすがにアメリカ映画だけあって、ぜんぜん史実を無視したものとなっています。
アメリカのカリフォルニア併合を、諸手を挙げて賛美する内容で、カリフォルニアのメキシコ系住民は、アメリカ併合を心から賛成しており、併合反対派は悪のならず者集団。あんたらなあ。

ところで、「ゾロ」といえば、もともと「怪傑ゾロ」として、50年代に大ヒットした映画です。(じつは最初の映画化は20年代なので、これは数度目)。ここでは、スペイン貴族の血を引くディエゴ・デ・ラ・ベガが、圧政を敷く悪い市長と戦う勧善懲悪ものですが、この「ゾロ」自体が実在の人物をモデルにしていることはご存じでしたしょうか。

実在のゾロは、本名ホアキン・ムリエタ=オロスコ。
ゴールドラッシュの時代、1840年代の終わりから50年代にかけて、カリフォルニアで活躍し、「エルドラドのロビンフッド」とも呼ばれた伝説的な義賊で、その狡賢く神出鬼没なところから出たあだ名が「ゾロ=zorro」、スペイン語でキツネ。カリフォルニア在住メキシコ人の間で英雄視され、1853年にハリー・ラブ大尉によって射殺されたことにはなっていますが、その後も「生存説」がずっと残っていた伝説的人物です。

ちなみに、映画では、前作の「マスク・オブ・ゾロ」では、アンソニー・ホプキンス演じる貴族のディエゴ・デ・ラ・ベガ(ゾロ)が年老いて、後継者となる2代目として、バンデラス演じる盗賊の青年アレハンドロ・ムリエタを教育するという設定になっていますが、この主人公(バンデラス)の兄(同じく盗賊)の名前がホアキン・ムリエタ。この兄ホアキンを殺し、弟アレハンドロが2代目ゾロになることを決意する重要な動機となる人物がハリソン・ラブ大尉、というネーミングはもちろん偶然の一致ではないでしょう。

このホアキン・ムリエタ=チリ人説というのも根強くあって、かのビクトル・ハラまで歌にして歌っていたりしますが、これは、翻訳の間違いと、チリのノーベル賞詩人ネルーダがこの誤訳に基づいて書いた戯曲によって広がったフィクション。(米国領に住むメキシコ人を指すchicanoをchilenoと間違えたらしい.......)

いずれにしても、史実はといえば、元々メキシコ人が住むメキシコ領であったカリフォルニアで、19世紀初頭に金鉱が発見されたために、この地を米国領にするべく米国政府はあらゆる謀略を尽くした挙げ句に、フランス軍からも侵略され、国内混乱していたメキシコの弱みを突いて火事場泥棒のような戦争(米墨戦争)を仕掛けて強奪。そして、カリフォルニアには、金鉱を見つけての一攫千金を目指して白人の無法者達が一気に押しかけ、本来の住民であったメキシコ人を二級市民に落とし、簒奪の限りを尽くしたという背景の中、(だから、そういう意味で映画「レジェンダ・オブ・ゾロ」は、残念ながら史実とはまるで逆)、その中からカリフォルニアのメキシコ系住民の抵抗運動のシンボルとまでなったのが、ホアキン・ムリエタだったわけ。

本物のゾロ、つまり、ホアキンは1820年代後半に、フアン・ムリエタとフアナ・オロスコの子供としてソノラ州トリンチェラに生まれ。ここには、彼のお墓もあって、毎年10月23日には彼を称えるお祭りもやっているそうです。
もともと温厚な性格だったといわれるこのホアキン・ムリエタが義賊になったのは、妻カルメン・フェリスを白人の黄金採掘者にレイプされて殺されたからと言われています。だから、彼の盗賊団は金に飢えた白人採掘者や黄金輸送車を襲い、カリフォルニアの(メキシコへの)奪回を唱えて、メキシコ系住民から「愛国者」と称えられた。ちなみに、この当時のメキシコの大統領は、フランス軍を撃破して、インディヘナ(オアハカ州のサポテコ族)出身としてはじめて大統領の座についた(いまでもメキシコの最高の大統領の一人と称えられる)ベニート・フアレスです。

で、この神出鬼没のホアキン・ムリエタへのアングロサクソン系住民の恐怖はかなり大きなものだったらしく、当時で、消息だけでも500ドル、首にかけられた懸賞金は一万ドル。

joaquin.jpg

もちろん、人間ホアキン・ムリエタが実在したのは事実だけれど、実際には、同じようにゲリラ的に抵抗活動を行うメキシコ人は他にも何人もいて、その集大成としての擬人化が「ホアキン・ムリエタ」でもあったと考える方が自然です。
だから、ホアキン・ムリエタは「神出鬼没」で、死んだはずである後にも「現れた」。
こうして、伝説はさらに尾鰭がついて広がっていく。
彼はなかなかのハンサムで、黒い馬に乗った姿が絵になったので、「愛国者」と熱狂的に支持するメキシコ系住民だけではなく、彼を恐れたアングロサクソン系白人たちからさえ「メキシコ系だが、貴族の血脈に違いない」と噂され、それが、後の小説としての「正体は貴族の息子」へとつながっていくわけ。
彼を殺したハリー・ラブ大尉は、ちなみに、米墨戦争のアメリカ側の英雄でもあります。

もうひとつの信憑性のある説としては、彼の出身地であるソノラ州トリンチェラ近辺には、もともと「ムリエタ」姓が多く、当然、郷土出身の同時代の「英雄ゾロ」にちなんで、子供にホアキンと名付ける親も多かったというもの。そしてそういった子供達の中から、実際に彼のように「義賊」に加わったものがいたことから、死んだはずのあとにも「正真正銘本物のホアキン・ムリエタ」が存在していたという話。実際に、殺されたはずのだいぶあとの時代である60年代になっても「ホアキン・ムリエタのインタビュー」や「手紙」なども残っています。記者の捏造と言ってしまえばそれまでですが、2代目3代目ホアキン・ムリエタ説もかなりあり得る話です。

このゾロを下敷きに、ジョンソン・マッカレイが冒険小説を発表したのが、1919年。ここで「ゾロ」はスペイン貴族の血を引く義賊になったわけです。そのゾロが、2006年に及んで、カリフォルニアをアメリカに併合するべく奔走していると知ったら、本物のゾロは墓石の下で嘆くでしょうなあ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Joaquin_Murrieta


(2月21日 記)

さて、政治話題が続いたけれど、帰る少し前になって、とっても素敵なものを見ました。
メキシコ初の国産大作ミュージカルです。

シティ南部のクイルイルコ広場に、これもメキシコで初めてという、千席のでかい特設劇場も作っての大がかりなもの。
音楽はアルマンド・マンサネーロ、企画・プロデュース:ハビエル・ロペス、脚本・演出:マリオ・マンドゥハーノによる、メキシコ完全オリジナル。新聞各紙で、「メキシコの演劇史を変えた」「是非見に行くべき」と大話題。

じつは、わたし、アルマンド・マンサネーロというと、往年の大ヒットの「アドロ」などを書いた「歌謡曲の御大」というイメージしかなかったので、正直言ってあまり期待してなかった(というか、ミュージカルなんてやって大丈夫か、と思っていた)のでした。
その一方で、企画・製作のハビエル・ロペスとはダチだったりするのでして、いちおう前々日のリハも見せてもらったし、初日に黒づくめの衣装の某作曲家となぜかVIP入場。(ハビエル・ロペス氏はじつは八木のことはどうでも良くて、いっしょについてくる某写真家が目当てという噂もあったが)

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で、そのミュージカルなんですが。
断言します。
わたしはアルマンド・マンサネーロを見直しました。
というか、偉大な作曲家であることは知っていましたが、しょせんボレロと歌謡曲の親父で、過去の人だと思っていたのさ。

それが、メキシコ民謡あり、スペイン音楽あり、ジャズあり、いい意味で歌謡曲的な歌曲あり。彼のメロディメーカーとしての才能全開です。
すいません。伏して謝罪します。
これ、メキシコの演劇史だけではなく、音楽史に残る、マンサネーロの最高傑作となるのは間違いなしです。

音楽監督はレオン・サンドバル(八木のCDで素敵なピアノ弾いてくれています)で、そのため、ミュージシャンには知り合いがいろいろ....。

でも何より凄かったのは、開演48時間前の段階で、「劇場が建設中」だったという笑撃の事実!
(前々日をリハも見せてもらったわりに、当日になるまで感想がいえなかった理由がここにある)
ゲネプロどころではなく、そこら中砂まみれの中で、べつに動揺もせず立ち位置の確認だけしている俳優たちと、ただただ唖然とする某カメラマン。
「いや、今日と明日、徹夜するから大丈夫」とにこにこしている製作者。(おいおいおいおい)

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で、ほんとに2日後に劇場ができて、照明も演出も相当複雑な作品をこなしていたから、メキシコ人の最後の踏ん張りはおそろしい。というか、さすがに、かのアンドレ・ブルトンが、「シュールレアリズムの本場」といっただけのことはあります。
あの人達なら、ピラミッドだって、最後の一晩で作ったに違いありません。
さすがに初日はちょっと音響などに問題はありましたが、数日でよくなるでしょう。(だってぶっつけ本番なんだものな)
しかも、さすがにラテン系。主要キャストの歌唱力と踊りの旨さはすごい。

物語そのものは、1930年代のユカタン州メリダ。
スペインで治安の悪化のため母親を失った上流階級の娘ルシアは父とともに移民してきたのだが、しかしそこは、「スペインの建築した新天地のコロニアル都市」ではなく、すでに混血し、違う文化を持つ「メキシコ人」の住む街で、しかも、スペイン系住民と混血系住民の対立があった。

そんなメキシコに馴染めず、もともと好意を持っていたスペイン貴族の青年と結婚して帰国することを決意したルシアの前に、美貌の混血青年ペドロが現れることで、彼女は、古典的な苦悩に直面することになる。
....という、「ロミオとジュリエット」的お話なので、言葉がわからなくても筋がぜんぜんわからないということはありません。
メキシコに行かれる機会があれば、是非どうぞ。


(2月17日 記)

はめられてないか、民主党?

ご存じのように、ホリエモンが、武部幹事長の二男への金銭振り込みをメールで指示したという追求が、衆院予算委員会で飛び出し、武部氏が定石通り否定するのは当然としても、小泉首相も「根拠のない情報」と即断したのを受けて、ついに、民主党の野田国対委員長が、メールを公開しました。

で、これってやばいんじゃ.......と思ったのはわたし一人じゃないはず。

さっそく、野田佳彦氏のサイトを覗いてみると.......ああ、やっぱり。この人も、この人の事務所の人間も、ITに弱い。悲しいほど弱い。たぶん、電子メールをなんとか使える程度。
なぜ、ITに弱いということがサイト見るだけでわかるかというと、ホームページのソースを見ると、どれぐらいのレベルの業者に頼んでいるのか、すぐわかるから。

ひょっとすると、「プリントアウトしたメール」なんて、ほんとに「デジカメで撮影した心霊写真」と同じぐらい簡単に偽造できちゃうのだということを知らないのだろうか。どうしたら証拠として認めてもらえるのか....って騒いだそうだけれど、それは無理だって。

「検察が押収したメール」に証拠能力があり得るのは、それがライブドアの(あるいは関係者の)パソコンから出てきた、(あるいは「抹消されていたものを復活させた」)という「出所の明示」ができるからです。プリントアウトされたメールには、それがないから、どう考えても無理。

まして、発信者(当然ホリエモン)と受信者のメルアドが消されていたんじゃ......
いや、こういうものを手に入れてはやる気持ちはわかるんだけど、ハメられてる可能性は考えなかったのだろうか。人前に持ち出す前に、プロに相談するとかさ。

で、メルアドや発信情報が消されていたのは、「情報提供者の安全を守るため」と力説していたけれど、論理的に考えると、メールが事実なら、ホリエモンはそれを誰だか知っているし、武部側にだっておそらく簡単にわかるはずなんだから、いまいち、説得力に欠ける。

逆に、このメールがガセだとわかったら、民主党と野田氏の信用は失墜する。
小泉首相がえらく強気なのも、ポーズなのか、それとも.......。

とはいえ、安部晋三氏のサイトなんて見てると、自民党は自民党で、IT弱そうなんだよね。やっぱ、どっちもどっちなのだろうか。


(2月15日 記)

ええと、せっかくメキシコに来ているので、ほのぼのとした話も書きたいのですが........ハイチでも動乱が起きてしまいました。
日本の新聞でも報道されているのでしょうか?

ハイチといえば、かつてキリスト教(カトリック)の神父でありながら大統領に立候補し、圧倒的支持で当選した左派のアリスティド大統領という人がいました。
その人は、その後、一度軍事クーデターで亡命。軍事政権が国内混乱と世界からの批判や圧力によって倒されて復権したあと、またもや、2年前、「腐敗」を理由に、軍部のクーデターで追放されています。見え見えなんですが、この間、米国のレーガン・ブッシュ政権を、ヘルムズ上院議員などの右派政治家たちは、アリスティド潰しのためにほんとうにいろいろなことをやっております。

で、2年前のクーデター派の人たちというのも、元々ハイチで恐怖政治を行っていたデュバリエ独裁政権時代、反対派の弾圧と拷問で定評のあった国軍の人たちだった、ということは、すでに、このモノローグ(2004年3月1日付)で書いたとおり。

腐敗もへったくれも、ありとあらゆる方法で改革を妨害しておき「成果が上がらない」だの「腐敗している」というのは、ご存じ、チリのアジェンデ政権下でやった手口です。この時代、お約束の「資本家スト」や「米国による反政府ゲリラの組織と後援」なども、きっちり行われています。そのうえ、一方では、表からIMF勧告という形で、国営組織の民営化の強要というのもある。

米国のみならず、フランスも「賠償金返還問題」(フランスは19世紀にハイチに因縁をつけて、法外な賠償金を払わせている)があるので、アリスティド政権を潰しに一枚噛むという、なかなか帝国主義的なことをしてくれています。
(ただし、その一方、アリスティド政権中枢近くに、旧デュヴァリエ独裁政権や麻薬組織、CIAとつながりがあるという疑惑の人物が入り込んでいたのも事実)

そして、その2年前のクーデターというのも、実際は、アリスティドは亡命などしておらず、武装米兵に連行され,行き先も不明なまま強制的に出国させられたという暴露があったため、米国・フランス・カナダ(厳密には日本も含まれる)以外からはさすがに批判ごうごうだったうえ、国内混乱も続く........ということもあって、国連監視下のうえで、先日選挙があったわけです。
この選挙に備えては、わざわざ、カナダの放送局が「いかにアリスティド大統領政権が腐敗していて、クーデター側に義があるか」みたいなタッチの番組まで作って、国際宣伝されておりましたが、(この番組、日本でもNHK-BSが、放映しています)、実際には、大半のハイチの民衆は、ぜーんぜんそう思っていなかったのは確か。
(ええと、私は、「ボーリング・フォー・コロンバイン」を見て以来、カナダという国にはわりと好感度を持っていたのですが、まあ、カナダ政府にもそれなりに暗いところがあるみたいですね。)

で、選挙結果。と〜〜〜っっっっても不思議なことが起こったのです。

開票率90%の段階で、アリスティド系(左派系といってもいい.....アリスティド政権下で首相を務め、第二次アリスティド政権のあと、彼の後継者として、大統領当選)ルネ・プレヴァル候補の得票率48.76%。で右翼系の2位候補がわずか11%。
ハイチの法律では、第一次投票で、ある候補が過半数を獲得すれば、その第一次投票で大統領が決定します。

にもかかわらず、開票率100%の段階では、なぜか、ルネ・プレヴァルの得票は49%にとどまり、大統領決定は決選投票に持ち込まれるという発表。
単純に統計的に考えれば、開票率90%のときに48.76%得票する人は、100%なら、54.18%を取るはずです。
で、こういうのを、ふつう世間では、「圧勝」といいます。

もちろん、アメリカ大統領選でおわかりのように、地区によって、右派的な人が多い地域というのがありますが、そういう誤差を考慮に入れても、プレヴァルの当選は明らかなわけで、最後に開票された10%の人に限って、90%以上が右翼ってことはないだろうさ。

で、ぜったいおかしいと騒然としてたところに、なんと、ゴミ捨て場から、大量の投票用紙が投棄されていた(もちろん、プレヴァル候補支持票)のが発見されたというわけで。(以下のリンクにその写真が....)

http://www.jornada.unam.mx/2006/02/16/039n1mun.php

証拠隠滅するつもりならもうちょっと頭使えよ........ほんまに右翼はアホだなあと最初は私も思いましたが、要は、ほんとのプレヴァル支持率はたぶん、ぎりぎり過半数どころではないほどのところをいっていたわけで、「プレヴァルを大統領にしたくない人たち」は、かなり慌てていたのでしょうね。

ま、しかし、そんなわけで、ハイチは暴動状態です。
プレヴァル氏自身は、民衆に落ち着くことを求めていますが。

追記

結果的には、16日になってから、ハイチの選管が、得票率51.15%で、ルネ・プレヴァル当選を発表。
国連の選挙監視団からも、「明らかにおかしい」という声がかなり上がった(米国からの監視人にまで言われた)ため、白票分を各候補に配分したとのこと。こんなめちゃくちゃな選挙があったというだけで、「クーデター後の暫定政権」の性格も語るに落ちたというものです。


(2月13日 記)

日本では、野口英昭氏の「自殺」報道に、週刊誌とネット中心に「実は他殺」説が飛び交って、かなり盛り上がっているようですね。実在の暴力団の名前も、思わせぶりな伏せ字から、実名まで出て、かまびすしいこと。

他殺説の最大の根拠は、「第一発見者であるカプセルホテルの従業員の証言が、ビミョーに二転三転していること」。
実は私はメキシコにいるので、ワイドショーも何も見ていないので何ともいえないのですが、それって、TV局とカプセルホテルのウケ狙いのヤラセなんじゃないのだろうか。
いうまでもなく、死体が発見されたら、ホテルとしたらいい迷惑です。小さなホテルなら、下手をするとそれだけで潰れかねないイメージダウンとなります。しかし、どうせイメージダウンというなら、へんに「あそこらしい」と陰で噂されるより、派手にやっちゃった方が、逆に宣伝になるのは確か。しかも、まさか誰も気がついていないとは思えないのだけど、TV番組でインタビューを受ければ、その分、「ギャラの発生」が生じるのです。
今回のようなケースなら、ホテル側が(TV側を怒らせない程度に)ギャラを吊り上げている可能性がありますし、逆に、ワイドショー側がより面白くするべく吊り上げてきている可能性もあります。一本あたり最低でも数十万でしょうね。

となると、毎回同じことを言っていれば飽きられますから、ビミョーに変えざるをえないし、それをやればやるほど、盛り上がる、と。

さて、この件の場合、「カプセルホテル」に違和感を抱く人は多かったでしょう。倒産・破産した零細企業の経営者とでもいうならともかく、エイチエス証券の幹部で、ホリエモンのブレーンで、おそらくとっても高収入だった人です。
普通、泊まるなら高級ホテルでしょう。スイートルーム料金だって、自腹でかるく払えたはずです。それがなんで、カプセルホテル?????

たとえホリエモン逮捕にびびったのだとしても、外国を舞台にしたマネーロンダリングのプロなら、高飛びを考えますわな。
資金ならなかったはずはない。
ホリエモン逮捕は、日本経済新聞やNHKに、本来ならあり得ない「事前スクープ」されたほどの情報漏洩があり、もちろんライブドアにも漏れていたわけですから、株を売り抜ければ かなりのお金が手に入ったはずです。
もちろん、これは犯罪ですが、本気で海外逃亡を企てるつもりなら、さっさとやっちゃって、お金は海外に持って(実際はロンダリングさせながら国外送金し)逃げたら勝ちです。
ライブドア関係者で、ホリエモン逮捕後に数百人出たという退職者の中に、これをやったひとは、実際に複数いるのじゃないかな。
そのうちのもっとも鈍くさい誰かが、一人か二人は、もう少ししたらインサイダー取引容疑であげられて、執行猶予でしょう。
(もちろん、政治家で儲けた人もかなりいるでしょうが、それは表に出ないとして)

で、野口氏は、そのマネーロンダリングのプロだったわけです。そして、ホリエモンが逮捕されたなら、次は自分がアゲられる.....と思ったなら、とりあえず、フィリピンとかタイ、あるいはブラジルに飛んで、そこで偽パスポートを作ってしまい、万一の場合にも、日本との犯罪人引き渡し条項のない国に行ってしまえば、この程度の経済事件なら安泰だろうと、ミステリ小説が少々好きな人なら考える。

ところが、逃げるどころか、沖縄のカプセルホテルで血まみれで自殺というショボサが、他殺説の引き金です。
でも、私はそのショボサゆえに、やっぱりこれは自殺だろうと。

だって、カプセルホテルですぜ。あの狭い。
どうやって犯人が入って自由に動き回るっての?
返り血浴びて、犯人も血塗れですぜ。

これが高級ホテルで、あるいはせめてビジネスホテルで銃殺死体が発見されたなら、私だって他殺説に根拠を与えましょう。しかし、カプセルホテルだよ。
仮に、暴力団関係者が「自殺に見せかけて」野口氏を暗殺したかったのだとしても、もっといくらでも方法はあるでしょう。一番いいのは、脅して高級ホテルで首つり自殺ね。これなら誰でもかなり納得する。だいたい、高級ホテルの従業員はぺらぺら喋りませんわね。あと沖縄なら、崖から突き落とすとか。
逆に、関係者をびびらせるためなら、プロのヒットマンを雇って派手にやればいい。

暴力団てのはプロです。本気のプロをバカにしちゃあいけません。一方で、暴対法が煩いってのに、中途半端なことをして、下手したら自分の首を絞めるようなことはしませんて。警察と暴力団の間に微妙な関係があるとしたって、警察だって、そこは警察ですから、あんまり見え見えなことはしないでしょう。
むしろ、本当に、暴力団が殺して、癒着した警察が隠蔽に荷担しているふしがあるのだとしたら、従業員もホテルも、怖くて何も喋れませんて。

では何が起こったのか。

野口氏は自殺したのです。
ただし、脅されて。あるいは、恐怖のために。

どういう恐怖のために?

それは、ありがちな小説的パターンと違って、彼もホリエモンも文字通りゲーム感覚のマネーゲームをやってただけだったからでしょう。
それが法律すれすれ、あるいは違反かもしれないのはわかっていたけれども、タバこを吸う青少年が「真剣な罪の意識を感じたりしない」程度に、あるいは、マリファナを試す程度に(ヘロインとかコカインをやったり、売買したりするのは重罪だとしても、マリファナぐらいなら、チャンスに恵まれれば、という人はけっこういるはず)しか思っていなかった。あるいは、最初の万引きは勇気が必要だったかもしれないが、全然ばれないし、むしろ世の中はチヤホヤしてくれる方向にいったので、これはこれでアリなんだと思ってしまった。
本当に悪いことをしているという意識があったら、知名度と株価吊り上げのためのプロ野球球団買収はともかく、タレントと遊び歩いたり自家用飛行機でシャンパン(これまた成金くさいわな)やったりしませんて。ちゃんと、裏ルートのつながりをもっとしっかり作って、(これこそお金の力でかなりのことができる世界です)トンヅラのチャンスを伺っているでしょうし、やばいと思ったらもう逃げてますって。あるいは、そもそもアゲられたりしない。

実際のところは、ホリエモンにせよ、野口氏にせよ、だからこそ、フィリピンのどこにいって、誰になんといって頼めば「小説に出てくるような、プロ級の偽造パスポート」が手にはいるかなんて、本当の裏世界の事情なんて知らなかった。だからこそ、遊びの延長でやっていたことで、ホリエモンが逮捕されて社会的にも制裁を受け、自分も同じ穴で、下手すれば10年近く塀の中、出ても白い目で見られて、もうまともな仕事には就けないと思い込めば、気の小さい人なら自殺を図るでしょう。
忠告した側が、「だから口を閉じておけよ」という程度の意味合いだったのだとしてもね。

かつて「今田勇子犯行声明」が朝日新聞に送りつけられ、報道されたとき、いろいろな深読み推理していた人たちは、あとになってそれが「子供の犯行」と知って唖然としたものです。でも、あとで資料として公表されたオリジナルの文章を見ていれば、あそこまで多様な深読みはあり得たでしょうか。
あのオリジナルの文章は、子供の字以外の何者でもなかったのだから、あれを最初に見ていれば、深読みの方向はかなり違っていたことでしょう。今回のカプセルホテル事件も、現状の部屋の詳細(実物大)を考えてみたら、他殺説の方が不自然であることに気がつくのではないかという気がしますな。その前に、いつのまにやら忘れやすいワイドショーは撤退しているのだと思いますが。

とはいえ、沖縄に利権があるのは確かです。
沖縄開発予算で、日本が大不況であった時期(今だって、回復感を感じている人は少数だと思いますが)にも、沖縄にはバブリーな建物が、公共の予算で次々に建っていました。牧志バス停前には、誰も使わない立派な無料のコンピュータルームだってあるんですぜ。

なんたって、今年の沖縄振興開発金融公庫予算案は事業計画額1629億円です。これで、昨年の1割減。ホリエモンの資産も小さく見えそうです。
そして、この大半が、土建行政として使用されます。辺野古の基地建設にもものすごい利権があります。(最大の利権という話もあり)

ご存じの方も多いでしょうが、小池百合子沖縄担当相は、読売新聞読者によれば次期首相にもっともふさわしい安部晋三官房長官と並んで、日本会議国会議員懇談会の副幹事長という素敵な肩書きもお持ちです。
この団体、日本会議のサイトは、相当な資金がある割にとてもキッチュで、主張もとってもわかりやすいので、ご一読をおすすめ。
(お金はこういうふうにロンダリングするもんですって)

で、この1629億円予算案が、沖縄ネタといえば「他殺説」で盛り上がっている間に、数日前にあっさり通りました。


(2月12日 記)

イスラムねた追記です。

ムハンマド漫画問題で、主要イラン紙が「ホロコースト」に関する漫画を募集したとのニュースが配信されました。

これで、「キリスト教国側に仕返しするなら、イエス・キリストの風刺漫画を募集する方がいいんじゃないの」という素朴かつありうる問いを受けましたので、補足ね。

イスラム教では、ムハンマドは最大にして最高の預言者ではありますが、モーゼやダビデと同じく、イエス・キリストもまた、すぐれた預言者の一人としてコーランに登場しているのです。だから良きイスラム教徒は、イエス・キリスト(やユダヤ教の予言者たち)をも冒涜するようなことはしないし、できないのです。

ちなみに、トリビア知識。
コーランというのは、アラビア語です。オリジナルが、ということではなくて、アラビア語以外のコーランは存在しないのです。ですから、アラビア語が母国語でない人は、コーラン理解のためにアラビア語を学ばなくてはなりません。(実際には、『お経状態』であることが多いようですが)
しかし、なぜ、他国語翻訳をしないのかという理由について、モスリームの人たちの答えは簡潔にして、明快です。
「翻訳をすると、その翻訳の段階で意味を変えられうるから」

あ、なんかどっかで聞いたような意見ですね。
というか、この部分だけだと、八木が「翻訳歌詞であまり歌わない理由」と同じだったりします。
要するに、曲解したり歪曲したものをわかったつもりになるぐらいなら、ぜんぜんわからない方が数段マシ、という考え方。
もちろん、八木が実はモスリームの影響を受けていたのではなくて、単なる偶然の一致なんですが。(翻訳の宿命について考えると、妥当にたどり着きうる結論なんですが)

人間の守るべき規範を伝える神の言葉を、預言者であるムハンマドが受け取って、そのまま語ったのがコーランです。ですから、それを変えるということはイスラームの精神に反するということらしいです。ちなみに、神とは、ヤハウェやエホバと同じ神のことで、ムハンマドはあくまでも、神ではなく、預言者なので人間。だから、コーランの研究や解釈は「神学」ではなくて「法学」ということだそうです。

それに比べると、イエス・キリストが偉大な預言者であったことは認めるけれど、さんざん書き直され、翻訳され、偽典・外典から異端まである「聖書」ってどこまでが本当に預言者の語った言葉なんだかなあ.......というのが、あるムスリームの人が「なにげ」に語ったりするキリスト教徒への「単なる意見」。
まあ、実のところ、それがキリスト者のもっとも痛いところをついているのだと思うのですが、それは表だって言わないんだよね。やっぱり、彼らにはイエス・キリストは偉大な預言者の一人だから。


(2月10日 記)

「うちのバカ息子(娘)が...」という言い方、あるいは、「うちの愚妻が」というネタは、単なる謙遜であることもあり、いわゆる「ネタ」であるのが普通です。
ま、最近は、「愚妻が...」というより、「鬼嫁」とか、「ゴミ亭主」というバリエーションもありますが....。

で、このネタのポイントは、「自分とこのことをネタにするのはいいけど、相手の家のことを言ってはいけない」という点。
つまり、「うちのバカ娘が」というのはネタになるけど、「お宅のバカ妻が」というと、喧嘩になります。
もちろん、その相手の家が、かなりの嫁姑険悪状態で、互いの悪口を他家で言いたい放題...という場合なら、そのへんビミョーな場合もないとはいえませんが、基本的には、よほどその家の家族関係が崩壊していない限り、他人に自分とこの家族、とりわけ、親を「バカ」扱いされると、気まずくなる。場合によっては殴られる、とというのは、世間一般の常識です。そんなわけで、どこの国でもだいたい、最大の侮辱文句というのは、相手の母親に対するものと決まっています。

さて、で、いま、デンマークを発端に、イスラム諸国とヨーロッパ諸国が、ムハンマド(マホメット)ねたの風刺漫画のことで対立していますが、これは、言論の自由がどうのこうのという問題ではなくて、要はそういうことです。

「我が国では、宗教をネタにした風刺やジョークはいくらでもある、それなのに、イスラムの連中には言論の自由というものがわかっていない」とイタリアやフランスの新聞がほざいていますが、それはかまわないのよ。自分とこの息子がバカでも、妻が愚鈍でも、亭主が間抜けでも、親がボケてても、自分とこの話をネタにする分には。
でも、よその家の、しかも「皆に尊敬されている人格者の父上」を「キ○ガイ」と触れ回るような冗談は、冗談といっても許されないし、相手が怒っても当然だということ。
逆に、日本の新聞がこぞって、イエス・キリストをバカにしまくるような漫画を競争で掲載したら、おそらく欧米諸国の不快感は、それを上回ることでしょう。

つまり、この騒動は、言論の自由の問題ではなく、根本的にキリスト教国の、イスラムに対する偏見と無知から来ているといえましょう。

さて、ご存じの方はご存じでしょうが、東京は代々木上原に、イスラム教のモスクがあります。トルコ政府が、極東に住むムスリムのために大枚をはたき建設したもので、建築家も職人も全部、トルコから専門の人たちがやってきて作ったという、それは本格的で美しいモスクです。
もし、行ったことがない方は、一度、観光気分で訪れてみられてはいかがでしょうか。

じつは、八木はこのモスクがかなり好きなのでして、代々木上原方面に出かけると、よほど急いでいない限りは立ち寄っていきます。
イスラームの洗練された美意識と文化の高さがよくわかります。

もちろん、私は異教徒ですが、立入禁止などではありません。一階はなんの問題もなく、美しいイスラム装飾を見ながら、気品のあるベンチで一休みできるし、上の礼拝堂には、女性は髪にスカーフを巻けば、入ることができます。スカーフは持ち込まなくても、礼拝堂の入り口で無料で貸していただけます。
あとは、宗教の場であり、原則として、自分以外の方たちは礼拝をするために来ていらっしゃるという良識を守ればよいだけです。

たいていは無言ですが、ムスリームの方たちと話が弾むこともあります。たいていは、お互い、そう流暢ではない英語なのですけど、それで、私はけっこうイスラームのごくごく基本な教義やイスラーム的考え方を教えてもらったりしています。日本にある、ということもありますが、ここはまったく排他的ではありません。

(ここにくれば、モスクを爆撃するということが、どれほど野蛮なことかよくわかります。)

さて、ここでもう一つの問題です。

わたしは無宗教です、という日本人は多いですよね。
しかし、それは、たいていの場合、誤りです。

というか、以前にここに書いた「文化の違いによる、かなり決定的な翻訳上の誤解」といったほうがいいでしょう。

日本以外の多くの文化において、「無宗教」「άθεος」「atheist」「I don't believe anyreligion」というのは、「特定の宗教を熱心に信仰しているわけではない」というファジーな状況を意味するのではなく、「宗教、あるいはそれに類するものを否定する」ことを意味するのです。

つまり、「無宗教」あるいは「無神論者」を公言する人は、正月に神社に初詣にはぜったいに行かないし、死んでも葬式はしないし、霊魂は存在しないから、お墓もない。結婚式で三三九度をやってもいけない。言うまでもなく、たとえ冗談でも占いなどに興味も持たない。
そしてまた、何かを否定するためには、その何か、を知っていなくてはならない。
だから、欧米などで「無神論者」を公言する人で、いわゆる「共産主義者」でない場合は、逆に宗教については詳しいものです。詳しく知っていなければ、否定することはできないからです。

このことは、日本では、人文系の大学教授あたりでもわかっていない人が少なくなかったりするのだけれど、日本人が、欧米などで、「あなたはなんの宗教を信じているのか」と訊かれて、「無宗教です」と無邪気に答え、相手に愕然とされるのは、そういう背景があるわけだし、実際に、すでに多くの日本人が、こう答えてしまうために、なんか大きく誤解されてしまっている部分もあるわけです。

さて、そういう誤解をされるとどうなるでしょうか。
ま、外国の学会で会うようなインテリが相手なら、愕然とされるぐらいで済みますが、近所のおばちゃんあたりだと、二度と口をきいてもらえなくなることさえあります。それは、「無宗教です」という言葉は、「だから、私はあなたの信じる宗教も否定する」という意味合いをも含むから。

相手によっては、「宗教を否定」=唯物論者=かなり過激な共産主義者あるいはアナーキスト、ととられる場合さえありますので、要注意。

ちなみに、日本では「共産主義」を一種の宗教と考えて攻撃するバカな人がいますし、また、そう取られても仕方のないような勘違いしたバカな人がいるのも確かですが、マルクスが唱えた共産主義の重要な本質のひとつは宗教の否定です。むろん、その社会背景から、彼が語っている宗教とはほかならぬキリスト教(というよりも当時の政治と教会勢力のからみ)からの離脱ではあるのですが、それゆえにマルクスの理論は、あくまで哲学といえるわけです。だからこそ、マルクス主義そのものが誤っているわけではなくても、あらゆる宗教と同じく、それを狂信的な形で(あるいは、狂信的なふりをして)宗教的愚直さで現実社会に適用すれば、容易に悲劇につながりえたわけです。

ま、それはさておいて、だとしたら、ほとんど圧倒的多数であると思われる、「でも、特定の宗教を熱心に信仰しているわけではない」ファジーな日本の人たち、というのはなんなのか、というと、これは、「無宗教」なのではなくて、「八百万の神文化」、つまり、「何でも神様であるがゆえに、そのどれかが決定的なものではない」という状況、つまり、「多神教」。

実際には、「あまり熱心ではない仏教徒」あるいは「日本の民俗的多神教と、日本的に変異した仏教の混合宗教だが、あまり熱心ではない」というのが、面倒だけれど、正解に近い。ついでに、「しかし、私は他の宗教もとてもリスペクトしている」という一言を添えれば、よほど頑迷な相手でない限り、完璧。

そういう意味では、自分が何を信じているのか、あるいは信じていないのかを理解して、なおかつ相手の宗教をも(可能な限りにおいて)尊重する、というのが、「言論の自由」を語る人の最低限の資質であって、自分が何を信じているのかもわからない人が、何かを信じている人を、ただ信じているというそれだけのことを理由にして侮辱したりすることは、「言論の自由」でもなんでもない。

このへんのことは、オウム真理教事件以来、「カルト宗教=悪」という図式ができあがって、それをむやみに拡大して、「宗教」というだけで「イコール狂信的」と思っている人が、日本のマスコミなどにもいたりするから困ってしまう。

日本人の宗教がファジーであるように、実際には、世の中は白か黒か(宗教でいうなら、絶対無宗教か狂信者か)ではなくて、極端な白や極端な黒はもちろん存在するけれども、実際は、大多数の人たちというのはグレーゾーンにいるわけです。(そのグレーが黒に近いか白に近いかというのは、もちろんありますが)
で、極論は極論として問題がある場合が多いのだけれど、(特に政治思想やカルト宗教ね)でも、実際には、宗教も思想も、やはり文化であることには違いありません。
かなり過激で問題の多いカルト宗教ですら、そのような宗教がなぜ起こり、なぜ多数の(熱狂的な)信者を獲得できたのか、というのは、その土地の文化や社会の土壌とは切り離せないのだし、そういうことを考察することをおろそかにして、ただ潰しても、別の似たようなものがまたできてしまうのは明らかです。
真っ黒な絶対悪がやたらに登場するのは、パトリシア・コーンウェルの小説で十分。(一作目はすごいと思ったし、2作目もまあともかく、10作以上ぜんぶ同じネタというのは、エンタテインメントとしては、水戸黄門的ともいえるか.....確かなのは、この人絶対共和党支持者)

実際に私たちが住んでいるのは、真っ白でも真っ黒でもなく、多彩であるからこそ美しい世界です。そして、言論の自由とは、その美しさを尊重できる人間に与えられた権利です。


(2月7日 記)

北千住を話題にしましたが、じつは、わたし本人は、数日前からメキシコに来ています。
なので、ちょっとラテンアメリカ話題。

ラテンアメリカで左派政権が相次いでいることはすでに書いていますが、そのうちの筆頭、(そしてもっとも過激な)ベネズエラが、スパイ容疑で在ベネズエラ米国大使館員を追放したのが、先日。
そして、その仕返しに、アメリカ側も在米ベネズエラ大使館員を追放するという騒ぎになっています。

にもかかわらず、ベネズエラのチャベス大統領、超強気。アメリカが本気で断交するなら、在米のベネズエラ石油関連の施設をすべて凍結すると言い出し、そこまで言われて、腹が煮えくりかえっているはずのブッシュは、いつもの手口で、チャベスを「極悪人キャンペーン」するどころか、「外交関係に変化はない」と受け身の防戦体制。

いうまでもなく、そこにあるのが「石油」だからです。
ボリビアでのエボ・モラレス政権誕生に対して、いまのところ派手に反対キャンペーンを打ち出せないでいるのも、すべて、ベネズエラの石油輸出停止が怖いから。

ブッシュの浪費政権下で、いまや、米国は必要な石油の75%を輸入に頼っていて、そのうち15%以上がベネズエラからとなっています。

いうまでもなく、あのデタラメを根拠にしたイラク侵攻の背景には、イラクの石油を米国が自由にしたいという莫大な利権があったのは、皆さんご存じでしょう。
そして、その背景には、メキシコを別にすれば米国に最も近くて、莫大な埋蔵量を持つ石油産出国であり、しかもアラブ諸国で作っているOPECに参加していないため、かつての石油危機の時にも忠実にアメリカに石油を供給してくれた(いうなれば、スト破りですね)ベネズエラが、こともあろうに最大の反米国家に変身し、しかも、そのチャベス大統領つぶしの陰謀がことごとく失敗した、というところもあります。

飼い犬だったベネズエラが敵に回った以上、アラブ諸国の中に確実な石油供給源が必要というわけです。

で、イラク。
アメリカの金髪美人極右評論家アン・カルターが、「イラクにも原爆の2,3発を落とせば、日本みたいにおとなしくなって、アメリカを歓迎するようになる」と堂々と発言したのには、そういう発言を許す土壌と後押しがあるわけです。(なぜか、アメリカでは超有名人であり、その著書が次々とベストセラー街道を驀進しているにもかかわらず、日本のマスコミは、こういう暴言を報じないのですけど)

ま、残念ながら、日本でも「南京大虐殺は存在しない」というようなトンデモ本が売れたり、「太平洋戦争で、日本は無実」と主張する靖国神社に、首相がのうのうと参拝して、なぜ、中国や韓国が怒るのかわからない、と本気で言っているらしいのも凄いけど、またそれに同調する人たちがいるというのと同様ですね。極右の論調というのは、頭の悪い人にほど「他国人に対して、優越感を持つことができて、とってもキモチいい」からで、これまた、こういう人たちは、簡単にプロパガンダに乗ってくれる。

で、そうやって、イラクに侵攻したものの、あにはからんや、(というか、当初、アラブのことをちゃんとわかっている、まっとうな人たちが予測していたように)イラクはきっちり泥沼化。ベネズエラと断交したって痛くも痒くもないほどの石油を供給してくれるどころではなくなった。

逆に言えば、イラクが泥沼化したこの状況だからこそ、ベネズエラのチャベス大統領は強気に出られるし、そのベネズエラが注視しているからこそ、ボリビアのエボ・モラレス大統領の当選を(汚い手で)阻止できなかった。どころか、口先だけは、歓迎しているふりをしなくてはならなかった。

そう。いま、ベネズエラが米国に全面禁輸を始めると、アメリカはパニックに陥り、ブッシュの首が絞まりかねない。かといって、ここで、(パナマやイラクでやったように)チャベスを悪役に仕立て上げて、ベネズエラに侵攻するのは、経済的にも、外向的にも、とても無理。
皮肉なものです。

もちろん、暗殺者は次々に送り込んでいるでしょうが、これも下手にやると、あまりにも「丸わかり」なので、ラテンアメリカだけではなく、ヨーロッパ諸国の大反発を招きかねないので、うまくやらないといけません。そして、いまのところ、成功していません。(そういうことでは経験豊富なキューバのカストロ首相が、いろいろチャベス氏にアドバイスしているでしょうしね)

で、この状況下で、アメリカに最も近い産油国・メキシコはどうかというと、「だからこそ、メキシコの左派は、無邪気に喜んでいられなくて、むしろ静かに怖がっている」感じです。

いまの支持率や状況では、左派のAMLOことロペス=オブラドールが勝ちそうなのですが、ここで、これまた石油産出国であるメキシコ大統領に、左派で、チャベスと同盟を組みそうなやつが就任したらどうなるか....。
すでに、ロペス=オブラドールを失脚させるための陰謀は、一度ならず、大衆の抗議行動によって潰されています。(2005年2月25日および5月9日付参照
それだけに、今度こそアメリカは、死にものぐるいでロペス=オブラドールの大統領当選 or就任を阻止してくるのではないか.......現与党と手を組んで、どんな手を使ってでも、選挙結果をごまかしてくるのではないか。
これは、杞憂ではありません。

その一方で、アメリカでは、アメリカとメキシコの国境に壁(ベルリンの壁みたいなものらしい)を設けて、メキシコからの不法移民を阻止しようという反メキシコ的な法律が通ろうとしていて、このせいもあって、メキシコの反米感情は、これまた静かに高まっています。

私の住んでいるコヨアカンの国立民俗文化博物館でも、いまのテーマは、「アメリカにおけるチカーノ(メキシコ移民)」。
シベリアから北アメリカを渡って、メキシコにたどり着いた先住民の文化から始めて、そのメキシコがアメリカの謀略によって、北部を奪われた経緯(だから、アメリカ南部にいるメキシコ人は、いわゆる「移民」ではなく、この国土割譲によって「アメリカ人」にされたメキシコ系の人たちがたくさんいる)、その時代に活躍した、怪傑ゾロ(いま、そのシリーズ第2弾が、アントニオ・バンデラス&キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演で、日本でも公開されていて、このストーリーはフィクションですが、怪傑ゾロ自体は実在の人物です)。
そして、アメリカの経済を支えるチカーノの労働と、そこで育んだ文化を取り上げて、「経済的にはアメリカより弱いため、多くの移民労働者を出したが、文化的には優越している」と謳っています。
文化に優劣をつけることそのものは、(たとえ、相手がアメリカでも)問題がありますが、公共の場所で、こういう展示が堂々と、入場無料で、しかも派手に行われているということ自体が、いまのメキシコ人のアメリカに対する感情を表している。

また、この法案に反対して、アメリカ中の「メキシコ系アメリカ人」が同時一斉ストライキをやるという動きもあって、これまた、本当にやれば、ベネズエラの石油とは別の意味で、アメリカがパニックになる出来事になるでしょうね。

そういう意味では、メキシコも、ひとつの焦点であることは確かです。


(2月6日 記)

北千住といえば、実は私のいま住んでいるところ。
いわゆる「昭和の下町」です。

なぜ、「昭和の下町」かというと、ここはもともと「江戸」ではなくて、「江戸からひとつめの宿場町」、つまり江戸の外ということ。
芭蕉の「奥の細道」の起点でもあるというのはそういうことで、現在も上野駅が東北地方への入り口であるように、北千住こと千住宿は「お江戸」から見れば、「東北への入り口」。
その後、昭和の時代に入って、戦後から高度成長期にかけて、東北から東京に移り住んできた人たちが住処に選んだ町です。
だから、浅草、神田、向島といった「江戸の下町」とは根本的に成り立ちが違っていますし、たとえば、夕方5時ぐらいに銭湯に行けば、「移民一世」であるお婆ちゃんたちが、東北弁で語り合っていらっしゃって、簡単に「ここは何処、私は誰?」状態になることができます。

ま、そういう町ですから、北千住のいいところは、現在は、JR、地下鉄千代田線、地下鉄日比谷線、半蔵門線、東武線が乗り入れていて、交通の便がいい割には、生活物価が安く、庶民性豊か。悪く言うと、なにかというと下町を名乗る割には歴史が浅いので、町の人の結束や連帯心のようなものが、案外と薄い。
そんなわけで、渋い居酒屋やら古い商店街が残っているわりに、あっさりと(別に反対運動もなく)駅前に丸井が建っちゃって、なんか勘違いしているとしか思えないようなでかいスクリーンには、広告が入らないので、地元CATVの画面を延々と流していたりする.....てな、ま、そういうところです。

そういう北千住で起こる事件というのは、明らかにセコい愉快犯による空き家への放火ぐらいで、凶悪事件といえば、2年ほど前に新聞配達店で起こったダンボール詰め殺人事件ぐらいでした。.....つい、この間までは。

それがまあ、あのマンション耐震強度偽装問題の発覚の場所になったわけですから、たいへんです。
といっても、この問題のマンションも、反対運動で大揉めに揉めていた、というような形跡もなかったので、近隣が大騒ぎになることもなく、地元の人はわりと「ひとごと」状態だったりするのであります。

で、その問題の耐震強度偽装問題暴露の発端の建物であるグランドステージ北千住。もちろん、この事件がきっかけとなって、建築確認を取り消されてしまったのですが、そのへんの事情は、以下のサイトに詳しいので、こちらをゆっくりお読みください。

http://www.ehomes.co.jp/(イーホームズ社公式サイト)
http://www.geocities.jp/shouhishahogo/eri.htm

さて、こういうことになってしまったのは、ヒューザー社、姉歯建築士、日本ERIの「利害の一致」もさることながら、根本的には、いまだに高度経済成長時代に作られたゆえに、「どんどん建てろ」的発想から成っている、本質的に「建築業者有利」になっている建築基準法と、また、そこにある大いなる利権ゆえに、21世紀になってもまだ法律改正にならない現状、そして、その大元である国土交通省の責任というものもあるでしょう。

そもそも建築確認というのは、建築基準法に照らして、それに反していない場合、マンション業者に対して下す「作ってもいいよ」という許可なのですが、これは、数年前までは、自治体が行っていました。それを、1997年から、民間の会社が建築確認業務を行うことができるように、法改正されてしまったのです。
この法改正によって、業者は、よりマンションを建てやすくなりました。
以前の自治体による確認申請自体も、そもそも、建築業者に有利にできている建築基準法に則っているわけですから、かなり甘いものでしたが、これが民営化されたため、そこに新たな利権が発生したのは言うまでもなく、この民間による建築確認業務が「ナアナアでザル」なのは、ご想像の通りです。
実際、今回の問題でやり玉に挙がっているうちの一社、日本ERI社は、この「民間で建築確認業務を行うことのできる会社」なのですが、すでにこの事件の前にも、「建築基準法違反である建物」に建築確認をおろして、その後、法令違反として訴えられて、自治体に取り消されるということを何回もやっているのです。(それでいながら、認可権を取り消されないこの不思議)

もちろん、建築基準法自体は、いわゆる民事なので、建築基準法に違反していても、警察が取り締まるわけではありません。被害に遭う立場の人間が、しかるべきやり方で異議申し立てをし、自治体が再審査するなり、あるいは裁判によって決着をつけない限り、建ってしまえば、違反自体が明るみには出ません。つまり、被害者になる立場の近隣の家屋が弱気であったり、この事実を知らなければ、明らかな建築基準法違反であっても、建物を建てることができるのです。
そんなわけで、ブラック、あるいはグレーなマンションを建てるに当たって、「住民対策」と称して、これまた「住民対策」専門の会社を雇って、住民運動を潰すというようなことも、じつは起こっています。
マンション業者にすれば、日照権などをきちんと計算して、きちんとした補償を払うより、ヤ○○な会社に頼む方が安くあがるわけですね。
おまけに、建築確認が民間委託になったので、いままでなら、近所にとんでもない建物が建ちそうだというと、建築確認が降りる前に、近隣住民が自治体に訴え出て、建築確認を受理しないように、要望書を出すというようなこともできましたが、民間委託になってからは、それも難しくなってしまった。
業者にすれば、それまでは、役所に頼んで、申請から認可まで1〜2ヶ月かかり、それまでに地元住民にいろいろバレて、反対運動なんかされてしまうより、1〜2週間で認可が下りて工事に入れる民間委託は便利でおいしい。いうまでもなく、これらの検査機関には、役所の天下りがどっさり入っている。

先に挙げたイーホームズの藤田社長は、「この偽造問題が明らかになったのは、民間委託の成果」と語ってはいますし、この件を内部告発した勇気は尊重しますが、彼自身、膨大かつちょっと見たぐらいではとてもわからない詳細な内容であると書いている「建築確認」を、どうしたら一週間でできるというのだろう。

まあ、日本のマンション事情、特に最近のマンション建設ラッシュというのは、そういう、ものすごい土壌の元で建てられているものが多いということを知っていれば、実は、今回の事件は、そんなに「驚くべきもの」ではなかったのです。というか、実は、氷山の一角なのではないかという気さえしています。

(なんて言っていると、さきほど=2月8日11:58、姉歯建築士以外の手による耐震偽装マンションが福岡で発覚しましたね)

そして、こんな重大な法律改正が簡単に通ってしまうあたり、日本の土建業界と政界の癒着は、ほんとうに凄いですね。
そういう日本のマンション建設裏事情は、こちらのサイトをどうぞ。

言うまでもなく、この事件のすぐ後にホリエモン事件と真央ちゃんでした。前の予算案追加の時にも書きましたが、ほんとうにホリエモンは自民党を利用してたつもりで、利用され尽くされているなあ。

ちなみに、いま、ホリエモンのいる東京拘置所は北千住の近く(正確には綾瀬または小菅)で、荒川のほとり。オウム真理教の麻原彰晃も収容されています。


(1月7日 記)

ええと、さきほどモノローグをアップロードしようとしていたら、新年早々、インターネットがつながらなくなりました。
なんか、ポートにエラーが出てしまったようです。一応、プロのシステムエンジニアである愚弟が出張して格闘しておりますが、現在のところ、我が家にインターネットはございません。この文章は、iBookのAirMacから、よそ様のパスワード管理の甘い無線LANを利用してアップロードしております。

さて、新しく買ったMacMiniには、マイクロソフトOfficeのお試し版が入っていたのですが、このOfficeお試し版が凄い。(悪い意味で)。使えるけど、作った書類のプリント不可、というのです。ふつう、お試し版って、一ヶ月ぐらい自由に使ったうえで、気に入ったら商品買ってねというようなものじゃないでしょうか。えげつないねえ、マイクロソフト。

といっている矢先、この年末、実家のウィンドウズパソコンも調子が悪くなって、OSを再インストールすることになり、とりあえずの場つなぎに、たまたまその場にあった、Windows2000のお試し版を入れたところ、なんと、画面発色16色。汚いったらありゃしない。というか、これもお試し版としての意味がわかっていないとしか思えない代物。えげつないねえ、マイクロソフト。

と書いてる矢先、そのマイクロソフトが、中国政府に批判的なblogを閉鎖したとか。中国政府からクレームでも来たのでしょうか。ブッシュの共和党に大量献金する一方で、中国政府にゴマすりとは、やってくれますねえ。
八木のマイクロソフト商品不買・不使用に拍車がかかりそうです。


(1月6日 記)

あけましておめでとうございます。
正月は実家のある大阪で過ごし、昨日帰ってきて、東京の寒さに死んでおります。たかが、大阪と東京でもかなり違うものですね。
でも、新潟など東日本の方は、ほんとうに笑い事ではないでしょう。

さて、昨年は、結局大晦日直前まで妙な悪運は続いておりました。あれから皿を4枚割りましたぜ。正確にはお気に入りのマグカップ1個、パイレックスの大きなパイ皿(パイを焼くというより、マリネ作りや鍋物の材料入れに重宝していた)、ストーンウェアのディナー皿2枚。
なんでストーンウェアが割れんの?....という疑問はともかく、私、自慢じゃありませんが、ここ数年お皿など一枚たりとて割ったことはございませんでした。それが、年末の3日間で、何で次々に皿が落ちる?

ともあれ、この悪運、大晦日でリセットして、今年からよい運に恵まれたいところです。
思えば、大晦日&新年というのは、ちょうどよいリセット、あるいは再起動気分になるための昔の人の知恵なんでしょうね。

というわけで、まあ、ルクルーゼの鍋を足の上に落としたりしなかったことを救いとして、新年リスタートであります。

さて、ペルーでは、チリの獄中からフジモリ氏が大統領選への立候補届を出したようですが、おそらく不受理になるでしょう。もちろん、そうなれば異議申し立てをするようですが、それ以上に、注目するべきは、ペルーでも、インカ文明の尊重と産業国有化、コカ栽培の合法化....あれれ、どこかで聞いたような公約の人が立候補してきています。先住民ではなくて、メスティソ(混血)系ではありますが、オリャンタ・ウマラ=タッソ氏、現在、支持率第二位。すでに、ベネズエラのチャベス大統領とボリビアのエボ・モラレス新大統領は支持を表明している模様。

http://es.wikipedia.org/wiki/Ollanta_Humala_Tasso
ペルーも面白くなってくるか?!


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